女子アスリート対談『カラフルトーク』新井真季子×奥井迪

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アルペンスキー界の未来のメダリストとして期待がかかる新井真季子と、アルペンスキーからガールズケイリンの世界に飛び込んだ奥井迪。同じ競技を経験しているもの同士だからこそ話せる本音を語り合った。

安定を捨ててガールズケイリンの世界へ

■お互いの競技の印象は?
新井「ガールズケイリンのドキュメンタリー番組をテレビで見たことがあって、厳しいという印象がすごく残っています。練習量とか、追い込む環境とか、そういう厳しい中でやっていました。どうしてアルペンスキーから競輪に転向したのですか?」
奥井「ちょうどガールズケイリンが始まると聞いたのがキッカケで、大学を卒業してアルペンスキーも辞めていたのですが、趣味程度では続けていて国体に出たりとか、働きながらやっていました。子供たちにスキーを教えたりもしていましたが、国体に出たりしていくうちに、競技者として面白くなってきてしまって、まだ教えるより自分が競技者でいたいと思うようになりました。そこで思い切って応募して、現在に至ります。スキーはスピード感もあるし、自然の中で風を切る感じとか良いですよね。スキーのどこに魅力を感じていますか?」
新井「やはりスピードを直接、肌で感じることができて、それがタイムに繋がったときの喜びは気持ち良いですよね。あとは、1人ひとり順番に滑るので、自分が良いタイムを出しても、それよりもっと良い人がいるかもしれないし、みんなが滑ってみないと結果が分からない部分があります。毎回毎回違ってくるので、それも楽しいですね。競輪の魅力は何ですか?」
奥井「自転車は練習量の勝負というか、乗れば乗るほど結果に出る競技です。やっていてやりがいがあるし、そこの部分はスキーと違う部分ではあるかもしれません。スキーは夏場もトレーニングをやりますが、それが直接的に冬の本番に繋がるかといったらまた違うところがありますので。だからスキーって難しいですし、社会人としてやっていくのは本当に厳しい世界。でも競輪はプロなので、賞金で食べられるから環境は恵まれていると思います。私は元々、公務員で、8年間くらい中学校の先生をしていました。そんな安定の職を捨てるという決断は、だいぶ思い切りましたね。“若さ”と“馬鹿さ”って言われました(笑)。スキーは社会人になって仕事をしながら競技を続けるって本当に大変だと思いますし、逆にやっているからこそすごくストイックというか、アスリートとして尊敬します。私は世界を目指そうと思いながらも、自分で限界を決めてしまい、(スキーを)辞めましたが、世界との差についてどう感じていますか?」
新井「私自身、中学3年生のときに一人でオーストリアの学校に留学して、その環境に入ってしまったので、“差”というのはあまり感じることがありませんでした。日本と向こうの環境が違うということを他の日本人の選手より早い段階で経験できたので、鈍感なのかもしれません」
奥井「すごいですね!中学3年生で自分から世界に飛び込むってなかなかできないですよね。私もスキーをやっていたときから、オリンピックへの憧れは持っていたし、競輪の世界に入るときも、オリンピックを目指そうと思っていました。でも、やはりそんなに甘くないですし、今はまず競輪でトップを目指して、頂点を極めてから自転車競技の方に手を出そうかなと。競輪と競技の両立ってすごい大変なんですよね。競技で海外遠征して、戻ってきてまた競輪のレースに出てってすごくハードで。今は、こなせる自信がないので、まずは競輪で基礎を作って、スキーで挫折した世界を目指したいですね」

怖さと戦っている余裕はない

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■お互いスピード競技ですが、怪我への恐怖心はないですか?
奥井「スタート前の恐怖心はスキーの方がありますね。前が見えないし、転ぶと靭帯をやってしまいますからね。競輪も、落ちたらコンクリートなので、転んだらすぐに折れますし、怪我によっては何ヶ月も休まなければいけないときもあります。怪我が付き物というわけではないのですが、常にリスクがあるという点で、そこは似ているかもしれませんね」
新井「滑る前は結構、恐怖はありますけど、コース状況だったり。このくらいのスピードは出るかなってだいたい予想できるので、それが分かってしまえば、あとはそこをいかに速く滑るかなので、怖さと戦っている余裕はないですね。天候だったり、何人か前に滑ったことによって雪面が変わってしまうので、滑りながら臨機応変に対応していきます」
奥井「競輪での怪我は接触が多いんですよ。私は先頭を走る“先行”という戦法なので、前に出ちゃえば接触する可能性が少ないポジションなので、比較的怪我の少ない戦い方です。先頭なので風の抵抗を最も受けて不利と言われますが、その勝ち方は競輪では王道というか、誰もができることではありません。競輪学校時代に骨折したくらいで、プロになってからはずっと先行型で、怪我はしていないですね」
新井「競輪学校って何年通うんですか?」
奥井「1年です」
新井「厳しいんですよね?」
奥井「意外とそうでもないというか、制限されることは多いですけど、想像していたよりはたいしたことはなかったかな。携帯電話が使えないので、外部と連絡の取りようがないから、すごく集中できるし、自転車のことだけを考えられます。その後のこの生活を考えたら、頑張れると思います。もう1回、入り直せと言われたら絶対嫌ですけど(笑)」

■毎回、この対談では、競輪の賞金額の高さが話題になります。
奥井「やはり、稼げるというイメージで入ってくる方が多いのですが、実際は成績が出ないと厳しいですし、生活はしていけるのかもしれないけど、ギリギリの人もいます。相当、頑張らないと難しい世界ですし、逆に頑張れば、甘い世界ではないですけど、やればやるだけ結果には繋がりますので。夢があるじゃないですか」
新井「格好良いですよね。オフはあるんですか?」
奥井「スキーみたいにシーズンオフはないですね。次の競走までのトレーニング日も休日も全部自分で決めます。自営業みたいなもので、仕事が練習といいますか、自分の時間は作りやすいですね。『雨が降ったら休み』みたいな(笑)。室内トレーニングは、パワーマックスという固定自転車を漕ぐマシンが辛くて嫌いなんです。高校時代、スキーでもやっていましたが、そのときから嫌いでした(笑)。梅雨の時期は最悪ですね」
新井「スキーは基本的に、自分を追い込むような練習は、競技中にはあまり活きてこないので、あまりないですね。さっき仰っていたように、練習が直接、本番のスキーに繋がるかといえば、直接的なことはないので、そういうのを考えながら練習しています。全身運動なので、どこかを重点的に鍛えるという発想はないですね。体の使い方をすごく考えます」
奥井「スキーは全ての能力が必要です。色んな部分を使うので、あらゆる能力がないと上にいけないと思います。だから世界レベルでやっているというのは本当にすごい。運動能力高いですね、スキーをやっている人はみんな。自転車は不器用な人でも、単純だから強かったりするんですよ。だからみんなと球技をやると、自転車は速いのに全然できない人がいたりして、面白いですね。スキー選手は何をやらせてもレベルが高いです」

先行でグランプリを制したい

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■今、掲げている目標を教えてください。
新井「今は怪我からの復帰を目指して、10月から雪上に出られる予定なので、もう1回、世界で戦うための権利を得ることと、去年からワールドカップに参戦できているのですが、1回しか出ることができなかったので、今年はもっと参戦して、戦っていけるようになりたいです」
奥井「ガールズグランプリという年末の一番大きな大会では、まだ先行で勝った人がいません。なので、先行でグランプリを制覇するのが目標です。歴史を作るといいますか、だいぶ高い目標ですけど、頑張りたいと思います」

■最後に、読者にメッセージをお願いします。
新井「12月か1月のワールドカップには復帰できると思います。復帰に向けて準備はしてきたつもりですので、できるだけ早い段階で復帰して、雪上に立って、成績を出していきたいと思います」
奥井「残念ながら私は出場の予定がありませんが、10月25日から27日にかけて、京王閣競輪場でガールズケイリンが開催されます。また、12月には京王閣でグランプリがあるので、観に来ていただけたらなと思います。応援がすごく力になるので、ガールズケイリンの魅力を知ってもらいたいですし、実際に観たら迫力とかも伝わりやすいと思うので、ぜひ本場に来て応援していただけたらと思います。私も出場できるように頑張ります」

プロフィール

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新井真季子
Makiko Arai
1993年06月12日生まれ
出身:岐阜県高山市
血液型:O型
身長:164cm

奥井迪
Fumi Okui
1981年12月19日生まれ
出身:北海道
血液型:O型
身長:167cm

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