世界へ羽ばたくJapan Way Interview 山本幸輝「ありのままの自分をさらけ出せる場所」

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世界最高峰の舞台『スーパーラグビー(以下SR)』に、初参戦を果たした日本のチーム『ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ(以下サンウルブズ)』。世界の強豪を相手に奮闘を続ける彼らは、歴史的快挙を成し遂げた昨年のワールドカップでの日本代表のように、再び世界を驚かせようと団結している。ヤマハ発動機ジュビロに所属する山本幸輝は、日本中が沸いたワールドカップをテレビから見ることしかできなかった悔しさを胸に、サンウルブズの一員として飛躍を期す。(取材日:4月4日)

「ありのままの自分をさらけ出せる場所」

■ラグビーを始めたキッカケを教えてください。
「小学校1年生から中学校2年生まで野球少年でした。中学でも順調に、キャプテンもやらせてもらって、良い感じでプレーできていたのですが、徐々に体も大きくなって太ってきて、中学校2年生から3年生の一番大事な時期に辞めることにしました。進路のこともありましたが、すごく好きだった野球というスポーツを楽しめていないと感じた時期がありまして。そんなときに、仲良くしてもらっていた先輩から『お前はラグビーしろ』と言われて、たまたまその中学にラグビー部があったこともあり、半年間、3年生の夏までやったのがキッカケです」

■初めてプレーしたラグビーはいかがでしたか?
「初めてプレーしたその日に、友達に手を踏まれて怪我をしました。でも、初めての野球以外のスポーツで、ルールはよく分かりませんでしたが、とにかくボールを持ったら倒れるなとか、走り回ったりして楽しかったです。やっていくうちにどんどん好きになっていって、みんなが嫌がる『ランパス』というボールを回しながら走り込みを何本もする練習でさえも、僕が走るのが遅くてもみんな待ってくれるので、初めて走り込みの練習が楽しく感じました。プレー中の接触も、勇気を出してやってみると案外、痛くなかったりして。どんどん夢中になっていきました」

■中学での半年間プレーした後、高校で本格的にキャリアをスタートさせるわけですね?
「中学のときに出た滋賀県の大会で、八幡工業高校の当時の監督から『ウチに来い』と誘われ、さらに僕にラグビーを勧めてくれた先輩も八幡工業にいたので、進路を決めました。八幡工業はスクラムに非常にこだわっていて、1日100本スクラムを組む練習を毎日やっていましたね。僕たちは入ったばかりの1年生でしたが、3年生の強い人たちと組まなければならず、毎日泣きながらスクラムを組んでいたのを思い出します。全然勝てなくて悔しいし、監督からも『負けてていいんか!』と喝を入れられて。僕らも1年生であることを言い訳にしたくなかったですし、とにかく必死でした。振り返ると、その経験が今に活きていると感じます。スクラムの強さもそうですし、根性というか、精神的な部分を鍛えられたと思います」

■ラグビーを始めたばかりで厳しい環境に置かれて、辞めようと思ったことはないのですか?
「辞めようと思ったことは一度もありません。野球を辞めるときも、親戚に少年野球の監督をしている人がいて、その人に『辞めるなら、中途半端にまた(野球に)戻ってくるなよ。やるならとことんやれ』と言われました。ラグビーは性格に合っていて好きだったので、辞めたいと思ったことはなかったですね。(練習を)休みたいはありましたけど(笑)」

■ご自身にとって、ラグビーの魅力とは何だと思いますか?
「ありのままの自分をさらけ出せる場所だからですかね。グラウンドでは『負けたくない』という闘争心をむき出しにできますし、仲間とも体を張ったり、普段の練習からしんどいこと一緒にやって助け合ったり、家族みたいな絆が生まれます。普通の関わりでは感じることのできない絆を感じられるのがラグビーの魅力だと思います」

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■ご自身の武器(特長)を教えてください。また、ヤマハに加入してから自身が成長したと感じる部分はどこですか?
「武器はやはりスクラムですね。自信は常にありますし、常に持っていなければいけないと思っています。成長したと思う部分は、技術面ももちろんありますが、一番は対応力が成長したと思います。スクラムも、入ったばかりのときは力勝負しかできなかったのですが、トップリーグのチームはスクラムを故意に落としたりとか駆け引きが上手くて、僕はずっと真っ向勝負しかできませんでした。そんな中、フォワードコーチの長谷川慎さんから、スクラムはパワーだけじゃないということを、良い環境でスクラムを組ませてもらいながら学びました。フランスまでスクラムを組むためだけに行ったりとか、武者修行にも行かせてもらったり、W杯も経験されてるので色々教えていただけたので、スクラムに関しては他の人よりもアドバンテージがあると思っています」

■昨年のW杯での日本の活躍について、何を感じましたか?
「まずはその場に居ることができなかったことが悔しかったですね。ゴロー(五郎丸歩)さんの話を聞いたりして、彼らが相当苦しい訓練をやっていたのは知っていたので、素直に嬉しかったですが、同い年の稲垣啓太とかが出ている中で、彼らの活躍をテレビでしか見られない自分、横で分かち合えないというのは正直、色々思うところはありました。終わってからもラグビーがブームになりましたが、やはり注目されるのは日本代表の人たちなので。悔しさ、羨ましさ、嬉しさ…複雑ですよね」

■昨シーズンのラグビー熱の高まりについて、どう感じましたか?
「初めて観に来られる人が大勢いる満員のスタジアムで1つ1つのプレーに歓声が上がるところでプレーできるのは嬉しかったし、やっていて楽しかったですね。どうしてもキックに注目が行きがちなので、自分たちが質の良いスクラムとか、ラインアウトモールとか、フォワードのプレーで観客を沸かせて『ラグビー好きというよりもフォワード好きにしてやろう』みたいなことをみんなで言ってました(笑)。秩父宮でのサンウルブズの試合にはリザーブで入りましたが、サンウルブズの応援する人ばかりで、初めてスタジアムが一色に染まったのを見ました。全部が味方という感じで、あれはすごくテンションが上がりましたね」

■サンウルブズのメンバーに選ばれたときのことを振り返ってください。
「即答でしたね。『行きます』と。1年目から日本代表は目指していた場所なので、『やっと来たか』という気持ちでした。もちろん、チームとも話をしなければいけないので、清宮(克幸監督)さん、矢富(勇毅)さんとも話をしましたが、矢富さんは『お前はリスクとか気にせずやるべきや』と言ってくれて、清宮さんも『頑張ってこい』と背中を押してくれました」

■サンウルブズ創設は今後の日本ラグビーにおいてどのような役割を担うと思いますか?
「全員が目指すべきところじゃないといけないと思っています。今回、断った人もいると思いますけど、やっぱり入っておけば良かったと思わせるくらいにしないといけない。チームの雰囲気はすごく良くて、家族のような感じでした。練習では、全員上手いです。志の高い選手の集まりなので、そういう部分で学ぶことも多かったし、自分もその中で驚いてばかりいるわけにはいかないので、やらなきゃいけないなと。良い刺激をもらいました」

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■影響を受けた選手はいますか?
「選手よりコーチですね。やはり長谷川慎さん。自分に足りない部分を言葉で分かりやすく指摘してくれる。自分もそういうプレーヤーになりたいですね」

■最後に、今後の目標をお願いします。
「現在、怪我をしているので、一刻も早く治して、万全の状態、もっとパワーアップした状態でまたサンウルブズに戻ります。まだサンウルブズは勝利ができていないのですが、勝利に貢献して、サンウルブズがみんなの憧れの存在になれるような活躍をしたいです。そうなればおのずと、日本代表へのアピールにもつながると思います。ヤマハとしては、去年のラグビー人気でみなさんにスタジアムに来ていただいて、またそれを継続できるように、良い試合ができるように、今年も鍛えていきたいですね」

プロフィール

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山本 幸輝 Koki Yamamoto
滋賀県出身
生年月日:1990年10月29日
身長/体重:181cm/116kg
所属:ヤマハ発動機ジュビロ/ヒト・コミュニケーション サンウルブズ
Pos:PR(プロップ)

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