【エアレース】世界最速のモータースポーツ・シリーズが日本初開催!!

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世界的な人気を誇る最速のモータースポーツ『レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ』(以下、エアレース世界選手権)が、いよいよ日本で初 開催される。世界トップクラスのエアレースパイロットしか参加できないこの大会に、アジア人初の選手としてエントリーされている日本人をご存知だろうか。 アジア人初のエアレースパイロットである室屋義秀に、母国での初開催への想いを聞いた。

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パイロットを目指したキッカケを教えてください。

「最 初からパイロットを目指していたわけではありません。子供の頃、『機動戦士ガンダム』を見ていて、あれに乗りたいなと。身近に飛行機がなかったので、ガン ダムに乗ってみたいと漠然と思っていました。でもだんだん現実がわかって世の中が見えてくると、何かに乗って飛ぶならやはり飛行機しかないと思うわけで す。また、当時はパイロットといえば憧れの職業でした。子供の人気職業ランキングでも野球選手と並ぶ人気で、僕もそんな多数いる子供のうちの1人でした ね。中学の時には『トップガン』が封切りになり、大学では『紅の豚』に影響を受けました」

曲技飛行(エアロバティックス)との出会いはいつですか?

「1995 年に兵庫県の但馬空港で開催された『ブライトリングワールドカップ』という曲技飛行の世界大会がありまして、そこで初めて曲技飛行を目の当たりにしまし た。自分もグライダー教官をやっていたので操縦技術には自信があったのですが、あまりにもレベルが違いすぎて、衝撃を受けましたね。例えるなら、峠で最速 を自負していた走り屋がフォーミュラーカーと競争するようなものです。自分より速いものなんてないと思っていたら、F1というもっと速いレベルを知ってし まった。空を自由に飛ぶとはこういうことかと思い知らされ、そこから本格的にトレーニングを始めました。曲技訓練の名教官をアメリカで見つけて習いに行っ たり、国内でも飛んだり。2002年には自分で飛行機を買って、国内でのエアショー活動を本格的にスタートさせました。少しずつ実績を積みながら、 2007年にレッドブルがスポンサーになってくれて。2008年からは10ヶ月もトレーニングをして、その甲斐あって2009年にエアレース世界選手権へ の出場を果たしました」

スカイスポーツの魅力を教えてください。

「ま ず空を飛ぶという点で他のモータースポーツとは次元が違います。3次元ですから。だからこそ“次元”の違う喜びがある。単純に、空を飛ぶだけでも面白いで すよ。誰でも最初に乗り物を運転するときは興奮や感動を覚えると思いますが、それよりももっと激しい感動があります。それと自然を相手にしなければいけな いところがあるので、自然との調整や戦いがあり、状況も変化しますし、読めたり読めなかったり、人間として鍛えられます。船やヨットも似ているかもしれま せんが、飛行機は途中で止められないので、判断力が重要になってきます」

恐怖心はないのですか?

「あ りますよ。それは絶対に必要ですから。要するに自分自身へのブレーキであり、生存本能なので、恐怖心は大事です。ただ、怖がっていてもダメなので、トレー ニングによって恐怖を感じない範囲を広げていきます。その範囲を飛び出さない勇気が必要なんです。飛び越えるのは簡単ですよ。一発勝負、火事場の馬鹿 力!ってやってしまってはいけません。飛行中は100%を超えないように。それ以上飛びたければ、訓練によってほんの少しずつ広げていきます。スピードを 競うエアレースでも、超えちゃいけない一線があるので、超えない勇気が一番求められます」

曲技飛行の技術は通常の飛行技術と何が違うのでしょうか?

「根 本とする技術は一緒ですが、より複雑で精密な操作が必要となりますので、操縦のスキルという意味では圧倒的に違います。肉体的な負荷も普通の飛行よりもあ りますし、それに耐える体作りという、スポーツ的な要素もあります。また、決められた時間に決められた場所で決められた演技、レースをしなければいけませ ん。その瞬間に持っている力を全て発揮できるかというのは、アスリートに近いですよね。通常の飛行は限界値のかなり下で飛んでいるので差は出ないのです が、競技ではみんな限界ギリギリのところでの勝負になるので、メンタルや技術の差が出てきます」

常に心がけていることはありますか?

「先 ほども言いましたが、常に限界を超えないことですね。その限界の枠を広げるために、機体を改造したり、技をトレーニングしたり、体を強化したり、メンタル も鍛えます。食生活も含めて。色々なことを準備して、ちょっとずつ枠が広がっていく。いかに普段から、どのようにトレーニングしていくかが勝敗を分けま す。無理にその枠を押し広げようとすると、瞬間的には力を出せるかもしれませんが、長くは続きませんし、事故に繋がってしまいますから」

エアレース世界選手権の魅力を教えてください。

「近 くで見ることができるので迫力がありますし、タイムレースなので素人目にも勝敗が分かりやすいのが特徴です。エアロバティックスは採点競技なので、フィ ギュアスケートのように技術の差がわかりにくいのですが、エアレースは実力差がタイムに出るのでスポーツとして見やすく、観戦するのも面白いと思います。 飛行機が高速で飛び交う姿を近くで見るだけでも興奮できると思いますよ。放送自体も約80カ国で放映され、5~8億人が視聴しているといわれています」

そんなエアレース世界選手権が日本で開催される意義を教えてください。

「レー ス競技を始めた頃から、日本開催を目標にチームで色々な準備をしてきました。それがやっと実現したという想いがあります。パイロットとしては、みなさんお そらくスカイスポーツ自体、馴染みがないものだと思いますので、スカイスポーツというジャンルがあるということを知ってもらうキッカケになってほしい。僕 がそうだったように、ガンダムの代わりじゃないですけど、子供たちが憧れを持つような一つのアイテムとして認知されてくると嬉しいです」

意気込みをお願いします。

「日 本開催ということで特別なレースですけど、シーズンで見れば8つあるレースの中の1レースですので、ここで燃え尽きても仕方ない部分があります。メインの ターゲットは来年のワールドチャンピオンですので、もちろん全力を尽くしますけども、持てる範囲の中で100%を出すことを心がけて準備をしていきます」

最後に読者にメッセージをお願いします。
「映 像で見るのと実際に見るのとではインパクトが100倍は違うと思います。来年も国内で開催できるかどうかは分かりません。この機会にぜひ足を運んでいただ いて、間近で見ていただくのがベストだと思います。もちろん、遠方の方はテレビでも結構ですので、まずは見ていただいて、エアレース以外にもスカイスポー ツはたくさんあるので、興味を持ってもらえたら嬉しいですね」

心がけていることは「常に限界を超えないこと」
室屋 義秀 Yoshihide Muroya
1973年1月27日生まれ 福岡県福島市在住
エアショー、レッドブル・エアレースパイロット。国内ではエアロバティックス(アクロバット/曲技飛行)のエアショーパイロットとして全国を飛び回る中、全日本曲技飛行競技会の開催をサポートするなど、世界中から得たノウハウを生かして安全推進活動にも精力的に取り組み、スカイスポーツ振興のために地上と大空を結ぶ架け橋となるべく活動を続けている。
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