ジュビロ磐田 Interview ジェイ・ボスロイド「誰よりもサッカーを“楽しむ”ストライカー」

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2015年、『元イングランド代表』の肩書きを持つ長身ストライカーが、J2に参戦した。名門ジュビロ磐田の一員となったジェイ・ボスロイドは、期待通りの活躍を見せてJ2得点王に輝き、チームのJ1昇格に貢献。そして2016年、初挑戦となるJ1でも、変わらぬ得点力を発揮している。彼は異国の地で何を想い、何を感じてプレーしているのか。話を聞くと、並々ならぬサッカーへの愛情と、サッカーを楽しみたいという熱意が伝わってきた。

J1の方がテクニカルで戦術的

■今シーズン、初めてのJ1はいかがですか?
「怪我もありましたが、復帰戦でゴールを決めることができて、エンジョイできています。J2にいた去年はJ1昇格候補という立場で戦っていて、J1に上がった今年は一桁順位を目指して戦っています。周りのレベルが高いので、今年の方がゴールを決めること、チャンスを生み出すことがより難しくなっていることは確かだと思います」

■J2との具体的な違いを感じることはありますか?
「J2の方が、よりフィジカルで、体のぶつかり合いを駆使した試合が多い印象です。そして展開が速いですね。J1の方は、よりテクニカルで、戦術的でもあります。もちろん、J1の方が質の高い選手が多いため、そういった違いが生まれているのだと思います」

■来日前、Jリーグに対して持っていた印象はありましたか?
「もちろん、何試合かは来日前に観ていました。何人かの選手は以前から知っていましたが、そこまで詳しくは知りませんでした。最初の試合をするまでは、Jリーグに対してほとんど知識はなかったですね」

■どういう気持ちで日本でのプレーに臨みましたか?
「とにかく、ここで成功したいと思ってプレーしました。去年は絶対に昇格するんだという気持ちでプレーして、達成することができました。日本での最初のシーズンとしては、目標を達成できた良いシーズンだったと思います。近い将来、ここでタイトルを獲りたいですね。毎年、自分が所属しているチームでタイトルを獲ることを目標にやっています。順位の真ん中で終わって満足する選手ではありません」

ファンはいつも自分の心にある

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■ジュビロ磐田というチームについて、どう感じていますか?
「本当に良いチームで、素晴らしいチームスピリットを持っています。ベテランと若い選手が上手く融合できていますね。まだJ1でのプレー経験が少ない選手がおり、日々の練習や試合で自分たちを改善していかなければなりません。でも、みんなポジティブにやっていますよ。それから、とにかくファンが素晴らしい。自分が住んでいるのは浜松ですが、ファンの皆さんは素晴らしくて、どこでプレーしても、ファンの皆さんのサポートをいただいています。ファンの皆さんは自分をハッピーにしてくれるので、いつも自分の心にあります」

■名波浩監督についての印象を教えてください。
「人として素晴らしいですし、自分と良い関係が保てています。話もたくさんしますし、監督としても素晴らしいです。ピッチの外では、みんなの雰囲気を良くしたり、環境を整えてくれて、ピッチ上では自分自身を表現する自由を与えてくれます。去年は1年間フルでやったシーズンで昇格という結果を出して、これからもここで結果を残し続ければ、日本でもトップの監督になれると思います」

■チーム内で、特に仲の良い選手はいますか?
「誰とも仲良くできていますので、この人と特に、というのはありません。英語を話せる選手とは話す機会が多くなるのは当然ですし、どんな選手とも対等に話をするようにしています。自分は謙虚でありたいですし、チームスピリットで、みんながハードワークをすることで良いチームを作っていきたい。そのためには、スター選手は要らないと考えています」

■ご自身の武器は何だと思いますか?
「高さは武器の一つですが、高さを活かすだけのプレーをして、ターゲットマンのようになるのは好きではありません。前線でどっしり構えて、ポストプレーばかりするのではなく、常にボールに関わっていくようなプレーが好きです。ドリブルもしたいし、シュートもしたい。公園で友達とサッカーを遊ぶような、そういうリラックスした気持ちでサッカーを楽しみたい。そういうスタイルを魅せることで、プロを目指している日本の若い子たちを勇気づけたい。そういう気持ちを持って試合に臨んでいます。背の高い選手がボックスの中にいて、ロングパスを頭で決める。そういうプレーも一つのサッカーですが、自分はそういうサッカーが楽しいとは思わないし、そうしたいとは思いません」オールラウンドな選手に憧れていた

■これまで対戦した中で、手強いと思ったDFはいますか?
「そんなDFはいなかったかな(笑)。というのは冗談で、まだ全員と戦ったわけではありませんが、日本だったら槙野智章(浦和レッズ)ですね。実はこの間、友達になったんですよ(笑)。時々、SNSなどでやりとりしています。彼は身体能力が高く、身体も強いし、良いキャリアを過ごしています。日本で1人のDFを選ぶなら、槙野選手ですね。海外なら、対戦したわけではないですが、すごいと思うDFはリオ・ファーディナンド。ゲームの読みが良く、本当に足下も上手くてテクニックがあります。全てが素晴らしすぎて、言葉がないですね。それからパオロ・マルディーニとアレッサンドロ・ネスタ。いつもこういう話になると、自分の中ではこの3人が出てきて、話が永遠に尽きません」

■日本のDFは、海外挑戦で苦戦しています。
「簡単ではないはずです。ヨーロッパではまず、身体が強くなければいけません。それが主な理由でしょう。一般的に、日本人はテクニックに優れている選手はたくさんいますが、そこまでフィジカルの強い選手はいません。ただ、例外の選手はいつでもいるもので、吉田麻也(サウサンプトン)選手が良い例でしょう」

■一方、FWですごいと思った選手はいますか?
「日本を見れば、大久保嘉人(川崎フロンターレ)選手は素晴らしいと思います。あとは柏木陽介選手、武藤雄樹(以上、浦和レッズ)選手ですね。彼らは観ていて楽しいですし、今年はフロンターレとレッズが攻撃面で良いサッカーをしていると思います。それが順位にも表れていますね」

■日本人では、岡崎慎司選手がレスターでプレミアリーグ優勝しました。
「(コンビを組む)ヴァーディ選手がかなりゴールを決めたみたいですけど、岡崎選手の貢献度も素晴らしい。選手にはチーム内でそれぞれの役割があって、彼は走って、相手にプレッシャーをかけて、相手の守備を混乱させました。だからヴァーディ選手がたくさんゴールを決めることができたのだと思います。そういう、数字に表れない貢献は大きいと思います」

■子供の頃に憧れた選手はいますか?
「ブラジルのロナウドは良く観ました。あとはデニス・ベルカンプ(元オランダ代表)。自分はテクニックがあり、オールラウンドに活躍できる選手に憧れを持っていました。自分が今、こういうプレースタイルでいるのはそれが理由だと思います。ヘディングや身体が強いというだけの選手にはなりたくなくて、オールラウンドでいたい、という気持ちでやってきたので、今の自分があると思います」

■6月は1stステージの終盤です。意気込みをお願いします。
「今のところ、我々はまずまずのシーズンを送ることができています。それでも、もっともっと成長しなければいけません。まだ試合によっては、相手のことを考えすぎていて、自分たちの力を出し切れていないときがあります。今年は失うものは何もないので、相手を怖がらずにプレーしていきたいです。失点が多いので、クリーンシート(無失点試合)を増やしたいですし、ゴール数も増やしたいですね。イングランドで使われる言葉で、『得点はストライカーだけに頼ることはできない。チームとして得点するべきだ』というものがあります。点取り屋はもちろん大切ですが、みんながゴールに関わらなければいけない。ディフェンスもそうで、守備は前線の選手から始まります。チームとして守らなければいけない。そういった部分を含め、チームとしてもっと向上したいです」

プロフィール

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ジェイ・ボスロイド
Jay Bothroyd
生年月日:1982年5月7日
身長/体重:190cm/89kg
利き足:左
足のサイズ:29
出身地:ロンドン(イングランド)
前所属:ムアントン・ユナイテッド (タイ)
イングランドの名門クラブ、アーセナルのアカデミーに入団し将来を嘱望されたが、トップチーム昇格は叶わず、その後は国内外のクラブを転々とする。その才能が再び注目されたのは、カーディフ・シティで3シーズン連続2桁得点を記録したとき。2010年11月には、2部の選手でありながらイングランド代表デビューも果たし、その名を一躍知らしめた。2014年、母国を離れてタイでのプレーを決断。そして2015年からはJ1昇格を目指すジュビロ磐田に加入し、32試合で20得点を挙げてJ2得点王に輝く活躍ぶりでジュビロの3年ぶりとなるJ1復帰へ大きく貢献した。

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