スポプレ異種競技対談 朝倉佳弘×小野大輔

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京王閣所属の競輪選手・朝倉佳弘と、現役フットサル選手で元日本代表の小野大輔が、Spopre本誌で初対面した。ともに府中近辺で生まれ育ったという共通点もあった同世代の両者が、競輪やフットサルの魅力について語り合った。

競輪は相手への信頼がないとできない

■まずは競技を始めたキッカケを教えてください。
朝倉「僕は小学校まではサッカーをやっていたのですが、中学校では特に部活にも入らずプラプラしていました。たまたまその中学にロードレース好きな先生がいて、悪くなりそうというか、道を誤りそうな生徒を自転車に乗せて更正させるようなことをやっていて、僕もそう見られてしまったのか、乗ることになりました。その先生とは今でも連絡を取っていて、先生との出会いがなかったらこうしてこの場にもいないし、選手にもなっていないと思います」
小野「僕は、サッカーでプロになることを諦めたから、フットサルを始めました。サッカーは小さい頃からやっていましたが、高校を卒業する頃に周りを見て、同い年が“黄金世代”といわれる人たちで、ダメだな、プロになれないなと思って。たまたまサッカー部の友達が『フットサルチームを作ろうぜ』と誘ってくれて、ちゃんと転身したのは18歳のとき。“フットサル”という共通の言葉ができたのも2000年前後で、それまでは各国で呼び方が違ったり、ルールも若干違っていました。日本はかなり遅れていて、ちょっとブラジル人に教わっただけで、他の日本人の選手たちと差ができました。練習でやった通りのフェイントをやったら相手が騙されてくれる。それがすごく気持ちよくて面白かったですね」

■お互いの競技の印象は?
朝倉「サッカーは格好良いスポーツだと思います。僕も昔やっていて、点を入れたときはすごく気持ちが良い。見ていても格好良いし、格好良い人が多いですよね」
小野「ありがとうございます!さすが一個下(笑)。僕にとって、自転車は苦手意識がありました。府中は坂が結構多くて、そういうところを重いギアで走り続けると、太ももが熱くなるじゃないですか。僕はもうそれで自転車嫌いでしたね。でも2008年に膝の前十字じん帯を断裂する大怪我を負ってリハビリをやっているときに、ストイックにやるトレーナーたちのところに入れられて、みんな漕ぐんですよね。もう熱いという感覚もなくなるくらいに。やっぱり好きにはなれませんでしたが、僕らとは比べ物にならないくらいの速いスピードが出せて、風を切る感覚ってどういう気持ちだろうなとは思います」

■自身の競技の魅力を教えてください。
朝倉「昔はスピードさえ出せれば気持ち良いで終わっていましたが、今の戦法からすると、一番気持ちが良いのは追い上げてくる選手を牽制して抑え込んで、自分の仕事がうまく果たせたときです。これは競輪ならではだと思いますし、競輪にはまっているなと感じています。牽制役は落車のリスクもあるし、落車させるリスクもある。落車させれば失格になって仕事を失うので、相手の力量を考えて加減しながらやっています。ある意味、相手への信頼がないとできない仕事ですね」
小野「観ていて、サッカーより興奮する場面が多いと思います。コートが小さくて人数も少ないですが、その分、1対1の駆け引きだったり、ゴールシーンが多いので、何も知らずに観に来てもらった人にも、ピンチとチャンスが分かりやすい。キッチリ前後半20分ずつで、バスケと同様にロスタイムもありません。GKをフィールドの選手に代えるパワープレーもあって、成功することもあれば失敗してがら空きのゴールに決められたり。ブザービートもあるし、スリリングな試合展開が楽しめます。個人的には、自分が点を入れて試合に勝ったときが一番楽しいですね」

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体重あたりのパワーは今が一番強い

■年齢を考えて、気をつけていること。
小野「今は情報技術が発展して、色々な知識が入ってきやすい環境になっています。でも、以前もそうでしたが、この走り方が良いとか、このトレーニングがオススメとか、やろうとして意識するとそれだけで疲れちゃう。新しいことに囚われるあまり、自分本来のプレーが出せなくなってしまうので、僕はもう、自分のペースでいいやってなりました。自分がこれまでやってきたトレーニングとケアの方法を変えずにやって、それでもう無理だと思ったら、潔く辞めようと。そうやってここまで来ました」
朝倉「僕もトレーニングだったりケアだったりは変えていません。以前、トップの選手たちと自分とで、何が違うんだろうと考えたときに、元々持っている身体能力が違ったんですね。そこを徹底的に鍛えようと。ウェイトトレーニングで筋力強化を図り、最低ラインとして体重の2.5倍のスクワットを上げたい。それが安定して上がるようになったら、パワーに変えていく。これからも変えるつもりはないですし、無意識にできなきゃ意味がない。無意識に出来る自分のフォームでいいやって思いました。あれが良い、これが良いってなるとブレてしまうので。それで駄目なら辞めようと。同じことを考えていらっしゃると思いました」

■この機会に、聞いておきたいことはありますか?
小野「自分にお金が賭けられているプレッシャーってどれほどのものなのかなと。もしかしたら、全財産をつぎ込んで、このレースに負けたらもう終わりみたいな人もいるかもしれない。1着でフィニッシュできなかったときに、『俺に賭けていた人がいたのかな』とか考えたりするのかなって」
朝倉「それはありますね。それで寝られなくなることもありました」
小野「優しい人がやる競技じゃないですね。自分だったら『お前が勝手に賭けたんだろ』って思いますもん(笑)」
朝倉「そういうメンタルの方が向いているかもしれませんね(笑)。逆にお聞きしたいのが、フットサル選手の体重ってどのくらいが適正なのかなと。オリンピックを見ていても、身長と体重が種目によって全然違うじゃないですか」
小野「僕は178cmの70kg。ベスト体重が70 ~ 72kgくらいですね。ただ、それは選手やプレースタイルによって変わってきます」
朝倉「僕がサッカーやフットサルが格好良いなっていうのは体型なんですよ。すらっと見える。僕は166cmなんですけど、昔は84kgあって。今のスタイルに適応するために体重を落としていったのですが、トレーナーから69kg以下には落とさないでくれと言われました。僕の身長でフットサル選手なら60kgくらいですかね。70kg以上は重いと言われるでしょう。そこが、地面に足のつくスポーツとの違いかな。今は70kgなんですけど、みんなに痩せたねと言われます。ただ、今が一番強いです。体重1kgあたり、何ワット出せるかという数値があるのですが、体重あたりのパワーは今が一番強い」
小野「言ってみたいですね、今が一番強いって」
朝倉「人間は45歳まで筋肉が成長できるらしいです。動体視力とかは年齢と共に落ちますけど、筋力は45歳まではトップに持って行ける。その言葉を信じて、コツコツやっています」
小野「それ、帰ったらチームの選手たちに言いたいですね。45歳まで成長できるんだって。今日の一番の収穫かな(笑)」

■今、掲げている目標を教えてください。
小野「僕が今所属しているバルドラール浦安というチームを、世界で名の通るクラブチームにすることです。その途中には日本一になったり、アジア一になったりがまずありますけど。そのために、朝倉さんのように『今の自分が自分史上最高』と言えるようにしたい。言葉だけではなく、ちゃんとプレーで示すことが目標で、その結果として、代表に復帰したり、得点王とかがついてくればいいかなと思います」
朝倉「目標は自分の体力を作り上げること。それができたときに、GIの上のほうで戦える選手になれると信じています。目指さなければいけないのは、GI優勝ですが、そのために作り上げなきゃいけないことがまだまだたくさんある。45歳までに、しっかり作り上げて、それができた頃には結果がついてくると信じて、今が下積みだと思ってコツコツやっていきます」

■最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小野「夢の国(ディズニーランド)の横、イクスピアリの並びにアリーナがあるので、時間があったらぜひ、観に来てください。1日2回、夢を見せます!」
朝倉「いいですね!ちょうど家族でディズニーランドに行きたいと話をしていたので」
小野「試合を観に来て、ディズニーランドで“ついで”に遊んでもらいたいですね」
朝倉「なるほど(笑)。競輪も生で観ると車輪の音とか、身体がぶつかる音とか、迫力が違います。僕のホームグラウンドであるこの京王閣競輪場は日本で一番キレイな競輪場だと思いますし、10月には開設記念競輪も開催されていますので、ぜひ遊びに来てください」

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プロフィール

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朝倉 佳弘 Yoshihiro Asakura
1980年11月3日生まれ
東京都出身
身長/体重:166cm/70kg
所属:京王閣

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小野 大輔 Daisuke Ono
1980年1月25日生まれ
東京都出身
身長/体重:178cm/69kg
所属:バルドラール浦安

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