佐藤琢磨 レース人生20年目に訪れた最大のチャンス

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アメリカのオープンフォーミュラカーレースの最高峰、インディカーシリーズで8年目の挑戦を迎える佐藤琢磨。
2017年、ここで琢磨は最も大きなチャンスを手に入れた。それは名門アンドレッティ・オートスポートへの移籍である。
2010年のアメリカデビューから、KVレーシング・テクノロジーで2年、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングで1年、そしてAJフォイト・レーシングで4年のインディカーシーズンを過ごしてきたが、今年はマイケル・アンドレッティ率いる同チームに移籍となったのだ。
すでにインディカーシリーズでは120戦を超えるキャリアを重ね、日本人最多出場、日本人初優勝(2013年ロングビーチ)、日本人初ポールポジション(2011年アイオワ)などエポックメイキングなリザルトを残してきている。元F1ドライバーであるとともにアメリカでは十分にその名前が浸透した。すでに四十路となりインディカーシリーズでもベテランの部類になる琢磨だが「まだまだ気持ちは若いですよ」と言って笑う。

takuma1アスリートにはファンを惹きつける者と、そうでない者がいる。同じ結果を出したとしても、その明暗は本人の意図と全く別の次元で存在する。分かりやすく言えば、華があるか、ないかだ。
佐藤琢磨はモータースポーツの第一線を走り続け、今もなおファンが多くアメリカにもファンが増えている。

takuma2琢磨の魅力はファンに“最も期待させ”、“最もがっかり”させるドライバーだということだ。その点に日本も、アメリカも、国境も、ない。“最も期待させ最もがっかりさせた”レースの象徴が、2012年のインディ500だろう。琢磨は最終ラップのターン1でトップを狙って前を行くダリオ・フランキッティのインに飛び込みスピンを喫した。世界中が固唾を飲んで見守り、スピンを見た瞬間に皆が絶叫した。モータースポーツ最高のエクスタシーの瞬間を世界中の何百万人が同時に体験したのだ。日本人初の偉業に届こうとした直後、そこから奈落の底へ突き落とされたのである。
琢磨の最終ラップの挑戦を賛える者もあれば、失敗を嘲笑する者もいた。評価は真っ二つに分かれたとしても、誰もが琢磨を論じたのである。また何かやってくれるかもしれない」。そういう期待を誰もが抱きつつ、「またやっちゃうかもしれない」という不安も同時に抱えながら、佐藤琢磨のレースを見るのである。
そういう意味で、2017年はその期待のボルテージは上がるだろう。決してトップチームとは言えないAJフォイトのチームを優勝に導くミラクルを成し遂げた琢磨が、誰もがトップチームと認めたアンドレッティに移籍したのである。期待度は増すばかりだ。

takuma3事実、3月12日の開幕戦セントピーターズバーグでは、琢磨はベテランらしいレースをして見せた。
金曜日のプラクティスでも右フロントのブレーキトラブルからクラッシュ。セッションを棒に振り、予選までトップ10にさえはいることがなかったのに、チームメイトのデータを自分のマシンに反映させて、なんと予選5番手を獲得。レースでもスタートで順調にポジションを上げると、常に表彰台圏内でレースを続け、最後のピットでタイヤ交換のミスがあり4位に落ち、ファイナルラップでチームメイトにかわされ5位でフィニッシュとなったものの、3位表彰台は常に手に届く所にあった。
いきなり金曜日からクラッシュ見舞われたが、チームメイトのデータも解析し、予選~決勝に向けてマシンを仕上げて、上位にフィニッシュする様を見て、琢磨が老獪なベテランとなったと感慨も一入である。「今週末は厳しい始まり方だったけども、チームメイトが助けてくれて、5位でフィニッシュ出来たので感謝してます。チームのみんなにありがとうと言いたい。まだ1レースしたばかりですけど、エンジニアのガレット(マザーセット)ともうまくいっているし、表彰台に上がりたいし、優勝もしたいと思ってます。それにインディ500も楽しみですね…」。

takuma4今年の琢磨に表彰台を期待し、優勝を期待し、さらにはインディ500の優勝を期待して、大袈裟過ぎることはないだろう。アンドレッティ・オートスポートは過去3年で2度もインディ500を制しているのだから。
琢磨がレース人生20年目、インディ挑戦8年目にして手に入れた最大のチャンス。その火蓋は切って落とされている。

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