異種競技対談 藏川洋平(鈴鹿アンリミテッドFC)×高橋裕紀(モリワキMOTULレーシング)

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三重県から初のJリーグ昇格を目指す「鈴鹿アンリミテッドFC」の藏川洋平と、2輪レース界の名門「モリワキMOTULレーシング」の高橋裕紀。鈴鹿に本拠地を置く両チームだからこそ実現した異種競技対談が、モータースポーツの“聖地”鈴鹿サーキットで行われた。(取材日:6月5日)

引退を考えていた2人

■まずは、お互いの競技の印象について教えてください。
高橋:サッカーはテレビでもよく見かけますし、メジャースポーツですよね。バイクに比べて知名度があり、ライダーの中でもサッカーが好きだったり、趣味でやっている選手もいます。特に海外のライダーは、休憩時間にサッカーをするのですが、みんなサッカーが上手いので驚いたことがありました。海外では文化として、サッカーが根付いていますよね。
藏川:僕は正直、バイクのロードレースというものをあまり観たことがなく、スピードを争うので危険なイメージがありました。でも、そんな危険な中で、みんなが速さを追求している。そこに、男としては格好良いなと。誰でも速く走れるわけではないですし、憧れはありますね。実は中型バイクの免許を持っているのですが、ほとんど乗らずに宝の持ち腐れとなりました(苦笑)。バイクの魅力はどんなところにありますか?
高橋:スピードを体感できることです。クルマで300kmのスピードを出すのとは違い、そのスピードを肌身で感じることができる。そんなスポーツはないですよ。確かに危険はありますが、怖くてアクセルを開けられなくなってしまったらライダーとして終わりです。ただ、怖さを知らずに走るのは本当に危ないので、全員がちゃんとルールを守って、死と隣り合わせのスポーツであることをしっかりと認識して争うことで、良いレースが生まれてくるのだと思います。逆に、サッカーの面白いところはどんなところですか?
藏川:自分がプレーしていて面白いと思うのは、相手との色々な駆け引きです。観ている側でも、得点が入ったときに盛り上がれるので、そこは魅力のひとつだと思います。分かりやすいですよね。

■現在の所属先(モリワキMOTULレーシングと鈴鹿アンリミテッドFC)に加入した理由、経緯を教えてください。
高橋:僕はたまたま運がよくて、世界を舞台に10年間くらいレースができていたのですが、色々な意味でレースをするのがしんどくなってきて、引退を考えていました。そんなときに、モリワキエンジニアリングの取締役である森脇緑さんが『何を言ってるの、まだ走れるでしょ』と(笑)。正直、全日本に戻ってまで走ろうというモチベーションはなかったのですが、僕が走るなら『モリワキレーシングを復活させる』と言ってくださいました。
藏川:自分も、去年までロアッソ熊本に所属していて、ほとんど引退を決めていました。鈴鹿アンリミテッドFCから声をかけてもらいましたが、2回ほど断っています。それでも、小澤(宏一監督)さんが熱心に、しつこく(笑)誘ってくださって、コーチの勉強もできるとか、色々な話を聞かせてもらって、移籍を決断しました。チームも経験を必要としていましたし、カテゴリーは低くても、このチームで上を目指せればと思いました。

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■この機会に、お互い聞いてみたいことはありますか?
藏川:レース中、どのくらいスピードが出るのですか?
高橋:トップスピードでは時速300kmを超えますね。それこそ少しでもハンドリングを誤ったら大事故に繋がります。
藏川:レース場は日本にもいくつかありますし、海外にももちろんありますが、国によって特徴は違ってきますか?
高橋:全然違いますね。なので、慣れるまでが大変です。逆にサッカーも各地を回りますが、土地によって変わりますか?浦和とかサポーターがすごいイメージがありますけど。
藏川:ホームとアウェーでまったく違いますね。環境も違いますし、やはりホームだと応援が数万人になることがあるので、そうなると迫力はすごいです。ただ、レースもお客さんの数はすごいんじゃないですか?
高橋:そうですね、特に海外はすごいです。ただ、僕たちライダーはヘルメットをかぶっているし、そもそもバイクの音がすごくうるさいので、観客の声援はほぼ聞こえないです。サッカーはあの距離ですし、絶対にヤジとか聞こえますよね。それでも、プレーに集中しているときは耳に入って来ないのですか?
藏川:いえ、だいたい聞こえます(苦笑)。ただスタジアムによって、距離感が違うので、陸上のトラックがないサッカー専用だとすごく近くて、よく聞こえます。その中で自分のプレーに集中しなければいけない。ただ、近い方が僕はやりがいがあると思っていて、注目された方が力が出るタイプです。
高橋:あと聞いてみたかったのが、グラウンドによってスパイクを変えるというのは本当ですか?レースでもコンディションによってタイヤの種類を変えたりするのですが、サッカーでも同じようなことが考えられているのかと思いまして。
藏川:変えますよ。スパイクの裏にピンがあるのですが、それが取り外せるものと外せないもの、数が少ないものや、雨の試合で使うためのスパイクというものもあります。特に守備の選手は滑ってしまったら失点に繋がるので、試合によって変えています。
高橋:長年の謎が解けました(笑)。
藏川:海外にはどのくらいいたのですか?言葉は話せましたか?
高橋:イタリアに7年間いました。最低限の生活はできていましたよ。一応、イタリア語を話せました。勉強したというか、せざるを得なかったです。そこで思ったのは、レンタカー会社の仲良くなったおじさんとかと遊びでサッカーをやったときに、太った人がオーバーヘッドをしたりとか、そこらへんのおじさんたちがめちゃくちゃサッカーが上手い。イタリア人がみんなそうなのか、たまたまその人たちが上手かったのかは分かりませんが、サッカーが市民の生活に近いなと感じました。文化としてあるのだなと。
藏川:海外では、文化になっていますよね。ブラジルとかもそうですけど。
高橋:サッカーはチームスポーツですが、どこを大事にしていますか?
藏川:まずは馴染むことですね。個人的な意見ですが、馴染んだ方が周りとの連携も生まれますし、良いプレーができると思います。僕は人見知りなのですが、何とか馴染めるようにしています(笑)。
高橋:ただ、プロ選手として引けない部分があると思うのですが、そことの折り合いはどうしていますか?
藏川:今は全くないですね。年齢のせいもあって、全く気にならなくなりました。逆にロードレースもチームで動いていると思うのですが、新しいチームに入ったときはどうしていますか?
高橋:僕もまずはそのチームが持つ空気に合わせます。無理に自分を曲げることはしませんが、なるべく本気度を感じてもらうようにしています。

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チャンピオンを目指して

■タイトルを獲ったとき、何を感じましたか?
高橋:思ったよりも嬉しさが出なかったですね。それよりも先に、安堵感が来ました。やっと(タイトルを)獲れたなと。それからすぐに、次に何を目指すかを考えていました。もちろん、嬉しかったのですが、それよりも周りで喜んでいるスタッフを見て、(優勝して)良かったなと思いましたね。
藏川:嬉しいのは間違いありません。ただ、サッカーの場合なのか、僕の場合なのかわかりませんが、優勝よりも昇格の方が嬉しかったです。
■今シーズンの目標をお願いします。
高橋:モリワキMOTULレーシングとして、今年はJSB1000クラスに挑戦していまして、チャレンジ精神万歳のチームです。僕自身、チャレンジのし甲斐を感じていますし、全日本チャンピオンを目指して、モリワキMOTULレーシングと一緒に上がって行けるように。また、鈴鹿8耐は第40回記念大会ということもあり、モリワキ復活の名に恥じないレースをしたいと思っています。
藏川:JFL昇格。それが一番ですし、それしかありません。去年、チームはあと一歩のところで届きませんでした。去年は経験が不足していたとのことですので、足りなかった部分を埋めるピースとして、自分を含めたベテランの選手が上手くゲームをコントロールしていきたいと思います。

■最後に、読者にメッセージをお願いします。
高橋:鈴鹿8耐に注目してほしいのはもちろんですが、全日本選手権も全国各地でやっています。実際に300kmで走っている風を感じながら、現地で観戦するのと映像で観るのとでは迫力が全然違うので、ぜひサーキットに足を運んでくれたら嬉しいです。
藏川:そうですね、サッカーも一緒で、やはりスタジアムに足を運んで観てもらうことが一番面白さが伝わります。もちろん、面白い試合を見せられるように、自分たちも日々、努力しています。鈴鹿アンリミテッドFCを通じて、サッカーの魅力を伝えて、鈴鹿が、そして三重県が盛り上がってくれればいいですね。

プロフィール

蔵川

藏川 洋平
Yohei Kurakawa
1977年8月10日生まれ
山口県出身
身長/体重:173cm/73kg
Pos:DF

jsb1000-10

高橋 裕紀
Yuki Takahashi
1984年7月12日生まれ
埼玉県出身
参戦クラス:JSB1000

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  1. 2017年 7月 28日
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