Interview スノーボード ソチパラリンピック金メダリスト エヴァン・ストロング

IPC(国際パラリンピック委員会)とWOWOWの共同プロジェクト、『WHO I AM』。2016年から東京パラリンピック大会が開催される2020年まで「これが自分だ!」という輝きを持つ世界最高峰のパラアスリートたちに迫るスポーツドキュメンタリーシリーズだ。

平昌パラリンピック開幕を目前に控え、スノーボードのソチパラリンピック金メダリストで、WHO I AMにも出演するエヴァン・ストロングに話を聞いた。

義足でもやれることを証明したかった

■事故によりプロスケートボーダーの夢を断たれ、義足での生活が始まりました。この悲しみをどのように乗り越えたのですか?
5歳のとき、親にスケートボードを買って貰って、世界で一番面白いと感じたんだ。家でもどこでもスケートボードに乗っていて、12歳のときに出場したチャンピオンシップで上位に入賞し、プロになろうと決めたんだ。それからスポンサーもついて、プロになる道ができたと思っていた矢先、17歳で事故に遭った。片足を切断して、義足になってしまった。それでもスケートボードが大好きだったし、絶対に競技に復帰したいと家族や友人に伝えたよ。スケートボードへの情熱を忘れられなかったから、義足でも、何でもやれることを証明したかったんだ。

■2007年から、スノーボーダーとしての活動を本格化させます。スケートボーダーの夢を断たれたあなたにとって、スノーボードとの出会いは運命的だったのではないでしょうか。
事故のすぐ後に出会ったから、運命という感じはしないな。最初からプロになりたいというよりは、義足で歩くことが困難だったので、とりあえず滑れるようになりたいと思ったんだ。スケートボードに似ているところがあり、雪が柔らかくて、スケートボードと違って足を固定できるから、僕に合っているスポーツだと思ったよ。

■その後、2014年ソチ大会からスノーボードがパラリンピック競技になり、あなたは金メダルを獲得します。ゴール直後に泣き崩れる場面が印象的でしたが、当時の心境を振り返ってください。
ゴールに辿り着いたとき、考えられないような感動を覚えたよ。本当に嬉しかった。安心したという気持ちもあったんだ。スピードが出るかどうか不安だったし、スポンサーからの期待もあり、プレッシャーを感じていたけど、ゴールに辿り着けたことで、すべてから解放された。これまでで一番嬉しい勝利だったよ。

■あなたはどのようにプレッシャーを乗り越えていますか。
まずは深呼吸をして、落ち着いて臨むことだ。それから、きっちりとした目標を立てること。目標がプレッシャーや呪縛にならないように、常に計画を立てて、後悔がないように進めていけば、乗り越えられるはずだよ。

選手一人ひとりに物語がある

■スノーボードの魅力を教えてください。
自然に囲まれながら、雪山を滑り降りる素晴らしい競技さ。スピードを出したり、スライドをしたり、風を感じることがすごく好きなんだ。スケートボードは技に失敗したとき、ボードを蹴飛ばしたりするけど、スノーボードではそれはできない。足が固定されているからね。競技と真摯に向き合えるんだ。

■初めて観戦する人たちに向けて、パラリンピックの楽しみ方を教えてください。
オリンピックをエンジョイできるなら、パラリンピックもエンジョイできると思う。パラリンピックでは、一つひとつの競技や、選手一人ひとりに何かを乗り越えてきた物語がある。それを知ることで、より楽しむことができるだろう。

■ソチでパラリンピック初開催となったスノーボードですが、この4年間で競技を取り巻く環境は変わりましたか。
すごく多くの人が競技に集まってきて、年々レベルが上がっているよ。各国が強くなることを目的に、すごくトレーニングしている。競技のレベルは平昌に向けて変わったと思うよ。

■平昌、または韓国には行ったことがありますか。印象を教えてください。
去年の3月、平昌に初めて行ったんだ。韓国はすごく好きな国だよ。親切で、オリンピックとパラリンピックが自国で行われることを誇りに思っている。アジアの環境の良さは知っていたけど、ご飯も本当においしかったよ。

■平昌パラリンピックで、楽しみにしている他の競技はありますか。
アルペンスキーやアイススレッジホッケーを観るのは好きだよ。それから今、オリンピックのチームと一緒にトレーニングしているから、オリンピックのスノーボードクロスも楽しみにしているんだ。

■2020年には東京でオリンピック・パラリンピックが行われます。楽しみにしている競技はありますか。
東京オリンピックから正式種目になったサーフィンが楽しみだね。ぜひ、パラリンピックでも採用してほしい競技だよ。また、夏のパラリンピックではウィルチェアーラグビーが観てみたい。『マーダーボール』というドキュメンタリー映画を観て、自分よりも重い障害のある人たちが激しくぶつかり合う姿にインスピレーションを受けたんだ。そこでパラリンピックがあることを知ったし、ウィルチェアーラグビーを観たいと思うキッカケになった。車椅子で動き回って、アタックしてとアクションがいっぱいあることが、すごく衝撃的だったよ。だから2020年は絶対に観に行きたいんだ。

■あなたにとって、『ゴール』とは?
ゴールすることがゴールさ。平昌では、とにかく勝ちたい。金メダルを死守したいね!

プロフィール

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エヴァン・ストロング
Evan Strong
1986年11月13日 
アメリカ・サンフランシスコ生まれ
少年期は家族とともにハワイ・マウイ島で暮らし、サーフィンとスケートボードに明け暮れ、プロスケートボーダーを目指していた。17歳の時、飲酒運転の車に轢かれてしまい、左足の切断を余儀なくされる。義足での生活となったが、すぐにスケートボード再開を誓い、多くのスポーツをはじめ、どんなことにも挑戦するようになる。2007年にスノーボーダーとしての活動を本格化。翌年、初めてパラスノーボードの大会へ出場し優勝すると、ワールドカップなどの国際大会を次々と制する。2014年ソチパラリンピックでは、念願のパラリンピックの舞台へ出場を果たし、金メダルを獲得。今もハワイに在住する彼は、一年の大半は雪山を転戦しながら、2018年3月の平昌パラリンピックに、前回王者として挑む――。Spopre171_08-13.pdf

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