三重から世界へ ~女子ラグビーチームPEARLSの挑戦~ 記虎敏和監督×齊藤聖奈キャプテン

2021年の「三重とこわか国体」での優勝を掲げ、2016年に設立された女子ラグビーチーム「PEARLS(パールズ)」。創設2年目の2017年に招待チームとして初出場した「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ第4戦富士山裾野御殿場大会」で初出場初優勝という快挙を成し遂げたPEARLSの指揮を執るのは、啓光学園(現・常翔啓光学園)を全国高校ラグビー大会で6度の日本一に導いた名将・記虎敏和監督。そした新たにキャプテンに就任したのは、15人制日本代表として2017年のワールドカップにも出場した齊藤聖奈。記虎監督と齊藤キャプテンに、3年目を迎えるPEARLSの魅力などを語ってもらった。

国体での躓きからコア昇格へ

■昨シーズンは、えひめ国体ベスト4、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズのコアチーム昇格、15人制の全国選手権大会優勝を3大ターゲットに掲げていました。2年目のシーズンを振り返っていかがでしたか?
記虎監督:まずは国体、それから入れ替え戦になっていくスケジュールの中で、国体でちょっと躓いてしまいました。ただ、そこでの躓きがあった分、入れ替え戦に向けて新たな挑戦ということで、練習も厳しくなりましたし、結果的に最大の目標であったコアチーム昇格を果たすことができて良かったと思います。要因としては、外国人選手が6人いる中で、日本人選手が献身的でひたむきにプレーをしてくれました。一緒に練習する中で日本人選手がレベルアップし、外国人選手の良さを引き出したのだと思います。

■齊藤選手は昨年8月に、日本代表の主将として臨んだ女子ラグビーワールドカップ2017アイルランド大会がありました。振り返っていかがでしたか?
齊藤:日本の女子ラグビー代表がワールドカップに参加したのは4回目ですが、今回はほとんどワールドカップを経験したことないメンバーで、初めてのことばかりでしたね。15人制は人数が多く、強化・遠征費もかかるので、アジア圏内から出て行ったことがありませんでした。アジアでは香港やシンガポールに対して圧勝しているのですが、ワールドカップではヨーロッパやオーストラリア、ニュージーランドの選手と体をぶつけることになります。そんな初めての経験に戸惑ったり、接戦をモノにする経験値が少ないため、勝ちきる力、方法がチームとしてまだまだ未熟でした。収穫は、互角以上の相手から勝ちきる難しさをみんなが経験できたことだと思います。

■長期間PEARLSを離れることもあったと思いますし、コンディションを合わせるのも大変だったのでは?
齊藤:ワールドカップの期間は1ヶ月ですが、PEARLSにいる時間は代表合宿の合間の3日間だけでした。さらに、まずは体のリカバリーをしないとまた次の代表合宿があるので、PEARLSの合宿には参加できませんでした。そのなかで外国人選手も入って来て、私もワールドカップが終わって戻ってきましたが、コンディションや15人制と7人制の違いもそうですけど、一番はメンタル的にPEARLSにアジャストしていくことが難しかったです。

■そこはやはり監督としても配慮をされたのでしょうか。
記虎監督:そうですね。合流の難しさですとか、彼女なりのペースというものを良く分かっていたので、焦ることなく、お前のペースでやっていいぞと。
齊藤:1週間、休みました(笑)。正直、あの休みがなかったらPEARLSに気持ちを持ってこれなかったと思います。休んで良かったです。

■太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ第4戦の富士山裾野御殿場大会では招待チームとして初出場初優勝。チーム結成17カ月で日本一という快挙を成し遂げました。実感としてはいかがでしたか?
記虎監督:スポーツでは、入念に準備をしてきても勝てないときがあるし、自分たちの思わぬ展開になって勝てることもあります。“不思議の勝ち”というやつです。あの大会は、そういうところがあったのではないかなと。何もかもが上手く回っていたのだと思います。
齊藤:そうですね。年間王者になったARUKAS KUMAGAYAには勝てていませんし、日本体育大学ラグビー部女子も、さくらセブンズ(7人制日本代表)の選手がいなかったりしました。

鈴鹿大会で日本一になりたい

■今シーズンは新キャプテンとして齊藤選手が就任することになりました。監督としてどのようなことを期待しますか?また、齋藤選手は新キャプテンとして、どのようなチームを目指しますか?
記虎監督:ラグビーの感性をものすごく持っているので、ぜひ他の選手にも見てほしい。自分が背中を見せていく。その感性の元で、しっかりとラグビーを理解して、そのラグビーを追求しようという姿勢があるので、それをみんなが自分から進んでやっていく、努力をしていく。そういうところで背中を見せていくのが、キャプテンとして彼女に期待することですね。みんなを言葉でまとめるよりも、体を使って、見本を見せる。そういうところだと思います。
齊藤:ジャパンのキャプテンをやるときも全く同じことを言われていました。(昨シーズンまでのキャプテン、伊藤)絵美さんとは違うタイプのキャプテンになると思います。PEARLSは昨年、目標としていた日本一にはなれましたが、全く同じ状態をキープして今年も日本一になることは難しいと思うので、変化していくことが大事。今年キャプテンになって、色々なところを見て、チーム全体としてレベルアップしていきたいです。

■また、バイスキャプテンの3名は、齊藤キャプテンが選んだとお聞きしました。
齊藤:はい。それぞれ期待するところがありまして、原仁以奈に関しては、他のチームからの移籍ということで、新しいエッセンスを期待しています。ずっと同じ人が上に立って、同じことをやっていても変化がありません。他のチームではこういうことをやっていたけど、PEARLSではやらないのかなど、客観的に見て、PEARLSはここが弱いと思う、ここが強いと思うということをしっかり指摘してくれる選手なので、そういう意見を取り入れながら、チーム作りをしたいと思っています。ジョージアに関しては、2年目ですが年間を通じて契約している選手で、自分はほとんど日本人だと思って接しています。外国人の選手が増えてくる中で、リーダーシップを取って、日本人選手との架け橋になってもらいたいです。彼女は間違いなく、誰が見てもPEARLSのエースですから。そういった部分でも、一味違ったリーダーシップの発揮を期待しています。玉井希絵に関しては、バイスキャプテンという役割を務める良い機会だなと思って指名しました。本人にとって良いチャレンジにもなると思いますし、彼女自身も一皮向けて、飛躍する年になればなと思います。
記虎監督:玉井は去年1年で本当に伸びました。彼女に負けないよう、みんなが切磋琢磨して、競争意識を持つことがチームを強くします。自分が出れるのか、出れないのか、一人ひとりがもっと危機感を持つことで、チームのレベルアップにつながると考えています。

■年間を通してコアチームとして参戦する初めてのシーズン。どのように戦っていきますか。
記虎監督:今年初めて4大会を経験するわけですけども、一つひとつの大会にチャレンジする気持ちでやるしかないと考えていいます。この大会をこうして、次の大会ではこうするというような、トータル的な考え方ではなく、一つひとつ、目の前の大会をどう乗り切っていくか。そこに尽きると思いますし、そうすればおのずと結果は出てくると思います。
齊藤:監督と一緒ですけど、今年初めて4大会に出る中で、まだ先を見据えられるほど余力のあるチームではないので、大会ごとにチームのベストを尽くして、グラウンドに出た選手はパフォーマンスを発揮する。それだけだと思います。
記虎監督:コアチームとして初参戦なので、注目はされるでしょうね。去年の裾野大会の実績もありますし、マークはされると思います。研究もされるし、簡単にいく試合は一つもないと思います。

■最後に今シーズンの目標を教えてください。
齊藤:まずは国体でのベスト4以上。三重県で応援してもらっているチームなので、そこはマストだと思っています。去年、一昨年と5位、5位できているので、今年は必ずベスト4の壁を破りたい。それと、太陽生命シリーズは去年日本一になったので、特に最終戦、ホームの鈴鹿大会で日本一になりたいという気持ちは強いです。そして15人制の話ですが、関西大会を2連覇して、全国に出て行ったときに、決勝の舞台で関東との差を感じています。ただ、それを若い子たちもみんな経験できたと思うので、それを忘れることなく、セブンズのシーズンが終わっても、15人制につなげて、決勝で勝ちたい。セブンズも15人制も、日本一になりたいです。あとは15人制は単独チームですね。今は合同チームなので、まずは単独で15人制に臨めるようになりたいと思います。
記虎監督:彼女の言ったその通りだと思いますし、一年を通じてずっとラグビーをやってきているので、怪我なく、みんなが良い結果を残せるような準備だけはしっかりとやっていきたいです。

プロフィール

記虎 敏和
Toshikazu Kitora
1952年4月28日生まれ
大阪府出身
指導歴:啓光学園高校(現・常翔啓光学園)
龍谷大学

齊藤 聖奈
Seina Saito
1992年5月30日生まれ
大阪府出身
出身校:大阪体育大学
所属:住友電装株式会社
ポジション:FW(フォワード)
代表歴:15人制日本代表(2011~)
2016年より代表主将

PEARLS(パールズ)

私たちPEARLS(パールズ)は光り輝く真珠の如く世界中から注目され、優しく強い日本女性でありたいという強い志を持って、2021年三重国体での日本一と日本代表として世界の舞台で活躍できる女子ラグビー選手を目指します。

<お問い合わせ>

PEARLS事務局
三重県四日市市久保田二丁目11番6号
TEL&FAX:059-351-1818
HP:http://mie-pearls.com

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