いよいよ開幕!2018 ロシアW杯 特集

サッカーの世界一を決める大会、W杯。世界最大のスポーツの祭典が、ロシアの地でまもなく開幕する。
五輪の6倍といわれる視聴者数を誇るW杯。この大きな差は、出場国以外の国民がいかに関心を寄せているかの差といわれている。
五輪では、基本的には自国の選手・チームを応援し、それらが出場する試合のみを観戦するが、W杯では自国のチームは当然として、他国同士、世界のスター選手の試合にも注目が集まり、W杯に出場できない国々の国民からの関心も高い。
まさに全世界が注目する、世界最大の祭典。それがW杯なのだ。

強豪揃い!日本のライバルたち

4年前、ブラジルの地で1勝もできずに大会を去った日本は、再び厳しい戦いに身を投じようとしている。前評判では、前回大会以上に苦戦が予想されているほどだ。そんな日本の所属するグループHを紐解いてみよう。
グループHの第1シード国は、ポーランド。70年代と80年代にW杯3位が2度ある古豪だが、近年は2012年の自国開催の欧州選手権でもグループリーグ敗退の憂き目に遭うなど、決して強豪国には数えられなかった。
しかし、2年前の欧州選手権で史上初のベスト8に輝くと、ロシアW杯の予選では8勝1分1敗の成績で首位通過。中でもエースのロベルト・レヴァンドフスキは予選10試合で16得点と爆発し、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドを抑えて予選得点王に輝く活躍を見せた。今シーズンのブンデスリーガでも29得点で得点王に輝いており、日本にとって最も警戒しなければならない選手といえる。
続く第2シードは、4年前も日本と同組だったコロンビア。この南米の雄の強さは、4年前に日本が1-4で完敗を喫したことからも窺い知ることができる。前回大会で一躍スターの仲間入りを果たした背番号10、ハメス・ロドリゲスをはじめ、卓越した個人技を誇る選手たちがズラリ。さらに、4年前は怪我で不在だったエースのラダメル・ファルカオが復帰し、4年前よりも怖い存在となって再び日本の前に立ち塞がる。
第3シードは、アフリカのセネガル。その特長は何といっても、ブラックアフリカン特有の身体能力の高さ。注目は、イングランドの名門リヴァプールで充実のシーズンを送ったサディオ・マネ。抜群の瞬発力を生かし、左サイドからカットインしてのシュートでゴールを陥れる。マネのほかにも欧州トップリーグでプレーする選手が多く、勢いに乗ると手がつけられない怖さを秘めている。
いずれも日本よりFIFAランキングが高い格上の国ばかり。しかし、それはグループリーグ突破を成し遂げた8年前も同じ。監督交代でかつてないほど大会前に不安が漂っている日本だが、西野朗新監督の下、チーム一丸となって勝機を見出していくしかない。

日本の命運を握る選手たち

本命不在とはいえ、どの国も非常に曲者揃いなグループに入った日本。決勝トーナメント進出の可能性は決して高くはないが、サッカーは何が起こるか分からないスポーツでもある。日本が2大会ぶりにグループリーグを突破するために、絶対に欠かすことのできない、日本の命運を握る選手たちを紹介する。

“ケイスケホンダ”の集大成

本田 圭佑
Keisuke Honda
生年月日:1986.06.13
身長/体重:182cm/74kg
所属:パチューカ(メキシコ)
W杯2大会に出場し3ゴール。現役の選手はもちろん、歴代の日本代表選手を含め、本田圭佑ほどW杯という大舞台で結果を残している選手はいない。本来ならばこのロシア大会でも、日本の柱としてチームを牽引する存在だった。
しかし、ACミランでなかなか出場機会を得られず、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の下で代表のスタメンから外れることも珍しくなくなった。欧州の最前線を離れ、メキシコに新天地を求めても、代表での立ち位置に大きな変化はなく。W杯メンバーからの落選も危ぶまれる状況まで追い込まれていた。
そんな中、ハリルホジッチ前監督の電撃解任により、状況が一変。経験や実績を重視する西野朗新監督は本田や香川といった4年前の主力選手を中心に据える考えのようだ。前監督の下で思うように結果を出せなかった本田に対する、周囲の風当たりは強い。だが、誰よりも批判の声を結果で黙らせてきたのが本田だ。3大会目にして、おそらく最後となるW杯で、本田は我々に何を見せてくれるのだろうか。いまだに「W杯優勝」を目標に掲げる本田ならば、その集大成となるロシアの地で、思いもよらない強烈なメッセージを発してくれるはずだ。

背番号10、完全復活なるか

香川 真司
Shinji Kagawa
生年月日:1989.03.17
身長/体重:175cm/68kg
所属:ボルシア・ドルトムント(ドイツ)
2010年の南アフリカW杯で、香川はサポートメンバーとしてチームに帯同。2大会ぶりとなる決勝トーナメント進出を喜ぶ傍らで、出場できない悔しさを噛み締めた。そして迎えた2014年のブラジル大会。ドルトムントからマンチェスター・ユナイテッドへとステップアップを果たした香川にとって、待ちに待った大舞台だったが、結果は未勝利のままグループリーグ敗退。香川自身も期待されたパフォーマンスからは程遠く、その不調は大会後もしばらく続いてしまった。
こうした過去の印象からか、なぜか本番に弱いタイプと見なされがちだが、ブンデスリーガやプレミアリーグを制し、チャンピオンズリーグでもゴールを挙げている香川ほど、トップレベルで結果を出してきた選手はいない。それでも、ドルトムント復帰後の香川は、かつてほどの輝きを見せられず、過去の幻影に振り回されているようにも見える。
怪我の影響で日本代表からも外れる時期が続いたが、西野朗新監督は早速、背番号10を呼び戻し、コンディションの確認を重視した。西野監督の目指すサッカーに、香川は欠かせないということなのだろうか。その背番号に多くの期待が込められているだけに、今度こそファンの期待に応えるプレーをロシアの地で見せてもらいたい。

劣勢の日本を支えるDFリーダー

吉田 麻也
Maya Yoshida
生年月日:1986.09.12
身長/体重:170cm/68kg
所属:サウサンプトン(イングランド)
本田や香川といった4年前の中心選手たちが思うような成長曲線を描けなかった一方で、最も頼もしい成長を見せたのが最終ラインを束ねる吉田だ。所属するサウサンプトンでレギュラーから外れる時期もあったが、今ではキャプテンマークを任されるようにもなり、日本人選手として初となるプレミアリーグ100試合出場も達成。サッカーの本場でも、その実力や人柄が認められたのだ。
日本代表としては、もはやDFリーダーとして欠かせない存在となっており、長谷部誠不在時にはキャプテンとしてチームを牽引。ロシアW杯のアジア予選では、日本代表で唯一となる予選全試合に900分間フル出場を果たした。W杯本大会では、格上のチームを相手に苦しい展開が予想されるだけに、吉田を中心とした守備陣がどれだけ無失点に抑えられるかがカギとなる。世界最高峰のプレミアリーグで揉まれた経験と実力は、劣勢が予想される日本にとってなくてはならない存在だ。

初のW杯でドイツ仕込の得点感覚を

大迫 勇也
Yuya Osako
生年月日:1990.05.18
身長/体重:182cm/73kg
所属:ヴェルダー・ブレーメン(ドイツ)
日本サッカー史上最強のストライカーとして着実に成長している大迫は、W杯という大舞台を前に、自らの去就を決断。来シーズンの2部降格が決まった名門1.FCケルンから、かつて奥寺康彦氏も所属していた古豪ヴェルダー・ブレーメンへの移籍を決めたのだ。 ブレーメンといえば、伝統的に攻撃サッカーを標榜し、3点取られても4点取り返すようなアイデンティティがあった。そんな攻撃色のあるクラブから、高額なオファーを受け取ったという事実が、大迫のドイツでの評価を表している。
これまでの日本人ストライカーは、献身性や泥臭さといった得点力以外の部分での評価が大きかった。しかし、大迫はそうした要素も備えつつ、高校時代から同世代を圧倒してきた得点感覚も持っている。グループHには、同じブンデスリーガで得点王に輝いたロベルト・レヴァンドフスキがいるが、大迫も同じ土俵で勝負しており、初めてのW杯で改めてその価値をピッチの上で示そうと躍起になるはずだ。

優勝候補とそのキーマン

W杯の魅力のひとつといえば、世界のスター選手たちの競演。今大会が最後の雄姿と思われるクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)、リオネル・メッシ(アルゼンチン)という2大スターをあえて外し、優勝候補と呼ばれる4カ国と、そのキーマンをピックアップした。

ドイツ

大会連覇を狙う優勝候補筆頭。攻守において隙がなく、唯一の懸念点は守護神マヌエル・ノイアーが怪我により8カ月間試合に出られなかったこと。それでも、バルセロナの正GKテア・シュテーゲンがおり、大きな戦力ダウンにはならない。すでに13年も代表チームに携わっているヨアヒム・レーヴ監督にとって、大会連覇の偉業はそれほど困難なハード
ルではないのかもしれない。

待望の快速ストライカー

ティモ・ヴェルナー
Timo Werner
生年月日:1996.03.06
所属:RBライプツィヒ(ドイツ)
ドイツにはトーマス・ミュラーというW杯得点王候補がいるものの、ミュラーは2列目からの飛び出しでゴールを奪うタイプ。2年前の欧州選手権では、しばらく代表から遠ざかっていたマリオ・ゴメスがトップに入り機能したが、ゴメスが負傷しミュラーがトップに入ると、思うように機能せず準決勝で敗れた。やはりミュラーは1.5~2列目の選手であり、新たなセンターフォワードが求められるのは当然の流れだった。
そこで白羽の矢が立てられたのがヴェルナーだ。ヴェルナーが最前線でプレーすることで、ミュラーのスペースへの飛び出しが活き、カウンターではヴェルナーのスピードが大きな武器になる。待ち望んでいたヴェルナーの存在が、王者ドイツの攻撃を活性化させ、W杯連覇の偉業へと導く。

スペイン

2008年から2012年までの4年間で、欧州選手権2回、W杯1回の優勝を成し遂げたスペイン。その後はグループリーグ敗退など振るわず、黄金期の終焉などと評されたが、そのままで終わるスペインではなかった。就任時まだ40代だった若手指揮官のフレン・ロペテギ監督を招聘し、チームの再構築に着手。FW不足による得点力不足が課題となっていたチームが、W杯予選で無敗を維持し首位通過を果たすなど、かつての強さを取り戻しつつある。

バロンドールが謝罪した天才

アンドレス・イニエスタ
Andres Iniesta
生年月日:1984.05.11
所属:ヴィッセル神戸(日本)
サッカー選手として最高の栄誉といわれる個人賞、バロンドール(世界最優秀選手)賞を運営するフランス誌『フランス・フットボール』が「これまでバロンドールの受賞を逃してきた選手の中で、彼の存在は特に痛い」と評し、「申し訳ない」と謝罪までさせた選手が、イニエスタだ。
バルセロナの下部組織出身で、“同門”のシャビ・エルナンデス、リオネル・メッシといった天才たちの中でも一際優雅なプレーでチャンスを量産。決してスピードがあるわけではないが、足に吸い付くようなボールタッチと体の使い方、インテリジェンス溢れるプレーで多くの人々を魅了した。そんなイニエスタが、22年間過ごしたバルセロナを去り、日本にやってくる。まだイニエスタのプレーを見たことがない人は、その予習としてロシアでのプレーを目に焼き付けよう。

ブラジル

ドイツ相手の惨敗で、絶望のドン底を味わわされたブラジル。復活には時間がかかるかと誰もが思っていたが、就任したチッチ監督は見事な手腕でブラジルを蘇らせ、強豪揃いの南米予選で難なく首位通過を果たす。ブラジルらしい個人技での攻撃と、規律正しい守備でのアプローチで非常に一体感のあるチームに仕上がっており、4年前の惨敗から再び優勝候補と呼ばれるまでに復調した。あとはロシアでの結果で、サッカー王国の復活を国民に示すだけだ。

“惨劇”のリベンジに燃えるエース

ネイマール
Neymar JR
生年月日:1992.02.05
所属:パリSG(フランス)
ドイツ相手に「1-7」という衝撃的なスコアは、ブラジルの全国民を悲嘆に暮れさせた。「ミネイロンの惨劇」と呼ばれるこの試合は、サッカー王国ブラジルの新たな黒歴史として、今後も語り継がれていくだろう。この試合のピッチに、ブラジルのエース、ネイマールの姿はなかった。直前の準々決勝のコロンビア戦で悪質なタックルを受け、長期離脱を余儀なくされたからだ。
あれから4年、再びエースとしてブラジルを牽引するネイマールは、リベンジに燃えている。2年前のリオ五輪ではオーバーエイジとして出場し、母国を初の金メダルに導いた。その決勝の相手は、因縁のドイツ。だが、まだ4年前の悔しさが晴れたわけではない。ロシアの地で、4年前から一回りも二回りも成長したネイマールがブラジルを世界一に導こうとしている。

フランス

2年前、母国開催の欧州選手権で決勝まで駒を進めたフランスだが、延長戦の末にポルトガルに敗れ、あと一歩のところで栄冠を逃した。しかし、湯水のように次から次へと溢れ出てくる逸材によって、ディディエ・デシャン監督の手元には他国が羨むような戦力が揃っている。国際タイトル獲得は、もはや時間の問題とも思われているようだ。しかし、選手個々の能力は驚異的だが、チームとして戦った際に、ドイツやスペインに比べてまだまだ足りない部分が多い。爆発力はあるだけに、一度頂点に立つことができればしばらくは黄金期が続きそうだ。

逸材揃いなフランスの最高傑作

Kylian Mbappe
生年月日:1998.12.20
所属:パリSG(フランス)
アントワーヌ・グリーズマン、ポール・ポグバといった若き逸材が次々に出てくるフランスにおいて、「最高傑作」と呼ばれているのがムバッペだ。同国の英雄ティエリ・アンリを髣髴とさせる長い手足と、爆発的な瞬発力とスピード、圧倒的なテクニックを持ち、わずか18歳にしてフランスの強豪パリSGに引き抜かれ、ネイマールと並んでチームの攻撃を牽引している。現在はレンタルでパリSGに所属しているが、完全移籍の際にパリSGが支払わなければならない額は日本円にしてなんと237億円!まさに規格外といえる怪物が、18年間国際タイトルから見放されているフランスを頂点へと誘うかもしれない。

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