電動トライアルバイクの世界選手権にヤマハ発動機が初参戦!新開発「TY-E」でYAMAHA FACTORY RACING TEAMの黒山健一が出場!

7月14日から15日にかけてフランスで、7月21日から22日にかけてはベルギーで行われる『2018FIMトライアル世界選手権 TRIAL E クラス』に、ヤマハ発動機が初参戦する。新開発の電動トライアルバイク(EV車)「TY-E」で参戦するのは、全日本トライアル選手権IAスーパークラスで活躍中の黒山健一。電動トライアルバイクのみが参加可能な唯一の世界選手権にYAMAHA FACTORY RACING TEAMからエントリーする黒山に、「TY-E」の乗り心地や世界選手権への意気込みを語ってもらった。

車体の軽さは武器になる

■EV車「TY-E」に実際乗られた印象を教えてください。
ハンドル位置、ステップ位置、シート高など、普段乗っているエンジン車(EG車)の「TYS250Fi」と変わらなかったので、違和感なく乗ることができました。非常に軽く、バランスが良い印象でした。トライアル含め、オートバイに乗りはじめて30年になりますので、EG車についてはイメージができています。ただ、EV車に関しては何のイメージもなく、ゼロからの発進ですので、期待と希望と夢があります。

■モーターの出力についてはどんな印象を持ちましたか?
モーターの回転の上がり方は非常にスムーズですね。そこに関してはEV車すごいな、素敵だなと思いました。

■操作フィーリングに違和感などはありませんか?
まずクラッチがついているので、違和感はまったくありません。ほぼ、思い通りに操ることができる印象でした。また、ライダーのスロットルワークに対して、ダイレクトなパワーが素直に後輪に伝わるイメージです。ライダーの意思と右手首の動きに、後輪がそのまま反応してくれました。

■EG車と比較して、EV車の一番の強みは?
本当に軽いです。これからテストしていけばもっと軽いフィーリングになると思います。この軽さは武器になりますね。こんなに軽いバイクは初めてなので、驚いています。

■その他、EG車との違いを感じるシーンは?
最も印象的だったのは、岩から岩に飛び移る際の後輪の接地感と、ステアケースに後輪が当たった瞬間の接地感。いずれもタイヤと大地の接地をダイレクトに感じることができるので、スムーズに飛び、スムーズに登ることができました。

■EV車の操作は難しいものですか?
アクセルを開くと一気に回転数が上がるので、低速を出したいときにはテクニックが要求されると思います。それ以外に関してはEV車だからといって、乗り方や操作が変わるわけではありません。EG車と同じように乗ることができます。逆に、乗る人や乗り方、それぞれの癖やレベル、走行環境などにも合わせて簡単に出力特性を変えることができるEV車は、ビギナーからトップライダーまで「みんなが乗れる」「みんなが楽しめる」乗り物だと感じます。絶対にエンストしない、メカニカルトラブルも起こしにくいといったEV車の特性も、きっと信頼感につながるはずです。

YAMAHAとして本気で戦う

■EV車の世界選手権に挑戦しようと思ったワケは?
シーズンオフから全日本でチャンピオンを獲ることを目標としてきましたから、(フランス大会と同日程の)北海道大会を欠場しなければならないということで、正直悩みました。ただ、これからのことを考えたときに、この年齢になって新しいことにチャレンジすることもなかなかできないということで、この大きな船に乗ってみようと決断しました。その決断に納得もしていますし、やるからには全力でやります。参加できて良かったという感想だけではなく、順位という結果を出してフランス大会とベルギー大会を終えたいと思います。

■EV車の世界大会ということで、観る側としてはどこに注目すべきでしょうか。
やはりEV車でトライアルのレースをすることは、世間一般的には「かなりEG車に比べて、パフォーマンスが劣るんだろう」というイメージがあると思います。しかし、今回のプロジェクトに参加させていただき、EV車を開発をするにあたり、かなりEV車の性能がアップしてきました。EG車に比べて静かなモーター音だけしか出ませんが、それでもトライアルパフォーマンスはEG車に負けないぐらい良くなってきています。遊び…ではなく、本気のレースをするので注目してほしいと思います。

■新しいことに挑戦できることから日本選手権を欠場し、EV世界大会出場を決断した黒山選手ですが、黒山選手にとって「挑戦」とは?
これまで長い年月、トライアルに関わってきて、色々なレースやイベントに参加してきました。しかし今回のEV車の世界というのは、自分にとって未知なる部分。想像やイメージはできても、それを実際に自分で体験して、体感できるチャンスはなかなかありません。そのチャンスが自分にあるとするならば、ライダーとして挑戦したくなるのは当たり前の事です。そしてまた世界選手権に再チャレンジができると思うと、本当に心からワクワクします。

■黒山選手の海の向こうでの活躍を期待するファンに、メッセージをお願いします。
トライアルと言っても、まだまだ知らない人がたくさんいるし、ましてや「トライアルのEV車?」と多くの人が不思議に思うのも理解できます。それでも、間違いなく世界選手権のフランスとベルギー大会で、EV車のクラスがありまして、そこにYAMAHAとして本気で戦ってきます。もちろん他のライダー、他のメーカーも、本気で1位を狙ってきます。今までの経験と、新しくEV車での経験を生かして、全力で1位を勝ち取るつもりです。皆様、応援よろしくお願いします。

プロフィール

黒山健一
Kenichi Kuroyama
出身地:兵庫県
生年月日:1978年7月24日
所属チーム:YAMAHA FACTORY RACING TEAM
主な成績

1993年 トライアルグランドチャンピオン大会 優勝
1994年 全日本選手権国際A級 ランキング 2位
1995年 世界選手権 ランキング 10位、ヨーロッパ選手権 ランキング 2位
1996年 世界選手権 ランキング 4位、全日本選手権国際A級 チャンピオン
1997年 世界選手権 ランキング 3位、全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
1998年 世界選手権 ランキング 3位、全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
1999年 世界選手権 ランキング 11位、全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 8位
2000年 世界選手権 ランキング 5位、全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2001年 世界選手権 ランキング 9位、全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2002年 世界選手権 ランキング 8位、全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2003年 世界選手権 ランキング 6位、全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2004年 世界選手権 ランキング 7位、全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2005年 世界選手権 ランキング 8位、全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2006年 全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2007年 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2008年 全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2009年 全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2010年 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2011年 全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2012年 全日本選手権国際A級スーパークラス チャンピオン
2013年 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2014年 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2015年 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2016年 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
2017年 全日本選手権国際A級スーパークラス ランキング 2位
TY-E 主な特徴

①力強い低速トルクと伸びやかな加速を両立し高い走破性を実現する高回転型の小型高出力モーターの搭載
②極低速から高速域まで優れたレスポンス、パワーフィーリングを実現するモーター制御技術
③優れたトラクション性能を実現する電動モーターに最適化されたフライホイール、
瞬発力とコントロール性を確保するメカニカルクラッチを搭載したパワーユニット
④新設計した小型高出力電池パックなどの高出力・小型軽量のコンポーネント
⑤最適な剛性と電池格納スペースを確保しながら軽量化を突き詰めたCFRPモノコックフレーム
⑥ダイナミックなライダーアクションを妨げない限界まで突き詰めたスリムなスタイリング

FIMトライアル世界選手権 TRIAL E クラス

FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が主催する電動トライアルマシンのみが参加可能な、唯一の世界選手権。昨年の6月24-25日にルルド(フランス)にて初開催され、昨年度は11名の選手がエントリーし、スペイン出身のマーク・コロメが初優勝した。今年は、7月14-15日オロン(フランス)、7月21-22日コンブレン・オー・ポン(ベルギー)の全2戦が予定されている。
【主要仕様諸元】
全長×全幅×全高:2,003mm×830mm×1,130mm
軸間距離:1,310mm
最低地上高:350mm
車両重量:70kg以下
原動機種類:交流同期電動機
駆動用バッテリー種類:リチウムイオン電池
クラッチ形式:油圧,湿式,多板
フレーム形式:CFRPモノコック
※レース本番では装飾が変更される可能性があります。

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