COUNTDOWN TOKYO 2020 vol.11 ボクシング-BOXING-

2020年、東京に再びスポーツの祭典がやってくる。Spopreでは「COUNTDOWN TOKYO 2020」と題し、2020年6月1日発行号まで全33競技を毎号特集。カウントダウン連載企画で世界最大のイベントを盛り上げていく。

紀元前に起源をもつ格闘技

ボクシングの起源は古く、紀元前にまで遡る。記録としては紀元前4000年頃のエジプトで軍隊の格闘技として採用されていたという象形文字の記述があり、紀元前3000年頃のエーゲ文明の遺跡から発見された壷にはボクシングをする図が描かれていた。

実際に競技として採用されたのは紀元前600年代の古代オリンピックで、第23回大会から正式種目となった。全身にオリーブ・オイルを塗った男同士が、拳にはヒマンテスと呼ばれる雄牛の皮から作った革紐を着用し、腕や肘も使いながらどちらかが戦闘不能、またはギブアップするまで戦う。この競技は第38回大会まで続けられ、この競技から派生し組技を取り入れた「パンクラチオン」が生まれた。

拳と拳で殴り合う男同士の決闘は民衆から非常に高い人気を誇ったが、ローマ帝国時代にはあまりにも危険で死傷者が出る、奴隷同士を戦わせてどちらかが死ぬまで戦うという残虐な試合もあったことから、ローマ皇帝によって禁止されてしまう。 その後、中世では剣術による護身が一般的だったため、レクリエーション以上のものとしては定着しなかった。そして剣の時代が終わりを迎えた16世紀ごろ、ベアナックル・ボクシング(素手で行うボクシング)がイギリスで徐々に認知度を高めていく。

その中で、“近代ボクシングの父”と呼ばれるジェームズ・フィグが初代ベアナックル・ボクシング王者として君臨。ボクシングだけでなく、レスリング、剣術、棒術にも長けたフィグはアカデミーを設立して後進の育成にも貢献する。そしてフィグの弟子の一人で第3代チャンピオンでもあるジャック・ブロートンは、試合中に死の可能性もあるボクシングの危険性を危惧し、「ブロートン・コード」と呼ばれる全7章のルールブックを発表した。だが、このルールはあまり浸透せず、死者が多かったため1754年にイギリスでボクシングが禁止されてしまう。

ルール制定でスポーツ化へ

イギリス以外のヨーロッパでは変わらぬ人気を誇っていたボクシングだが、蹴り技があったり、投げ技があったり、グローブを使用しなかったりと、ルールが安定しないままだった。この状況が一変したのは1865年、ロンドン・アマチュア・アスレチック・クラブのジョン・グラハム・チェンバースがラウンド制、グローブの着用、投げ技の禁止、KOの規定など、ボクシングがスポーツとして成立するルールを制定。このルールは第9代クインズベリー侯爵ジョン・ショルト・ダグラスが保証人となったことで成立したため、彼の名を冠して「クインズベリー・ルール」と名付けられた。

現在のボクシングの基礎となるクインズベリー・ルールの登場により、ボクシングは一気に近代スポーツへと発展していく。ボクシングが初めて日本人に伝わったのはペリー来航時といわれており、ボクシングを使うアメリカの水兵と、日本の力士や柔道家が戦う他流試合によって徐々にボクシングの技術が日本人へと伝わっていった。

日本でボクシングが本格的に始まったのは1921年。貿易商を志して19歳で渡米した渡辺勇次郎が14年間プロボクサーとして活躍し、帰国後に日本で最初の本格的なボクシングジムである「日本拳闘倶楽部」を設立した。

ボクシングが五輪種目に採用されたのは1904年のセントルイス大会からで、1912年のストックホルム大会を除きすべての大会で実施されている。日本は1928年のアムステルダム大会で初出場を果たし、ウェルター級の臼田金太郎がベスト8に進出。1960年のローマ大会におけるフライ級で田辺清が銅メダルに輝き、日本ボクシング初のメダル獲得を果たした。なお、ローマ五輪のヘビー級では、のちに「モハメド・アリ」としてボクシングの歴史に名を残すカシアス・クレイが、ライトヘビー級で金メダルを獲得している。

賛否両論のプロ参加解禁

2012年のロンドン大会からは、女子も正式種目として採用されたボクシング。しかし、五輪の理念であるアマチュアリズムに従事し、長らくアマチュアボクサーのみが参加権を得られ、一度でもプロに転向すれば五輪出場への道は断たれることとなっていた。

しかし、2016年のリオ五輪からプロの参加が解禁。この決定はボクシング界で賛否両論を巻き起こしているが、ロンドン五輪で日本人として48年ぶりの金メダルに輝いた村田諒太や、アマチュア時代に予選で敗れて五輪出場が叶わなかった井上尚弥、井岡一翔といった現役バリバリのプロボクサーの参加(復帰)も可能ということで、出場選手の行方に注目が集まっている。

もちろん、五輪はアマチュアボクサーにとって最高の晴れ舞台であり、五輪で活躍してプロに転向するボクサーも多い。2020年の東京五輪で、どんなスターが誕生するのか、男女ともに楽しみだ。

● 一般社団法人日本ボクシング連盟 HP:http://jabf-kizuna.com

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