蘇ったYASUDA ~仕掛け人・佐藤社長に聞く復活のワケ~

1932年、日本初の純国産サッカースパイクメーカーとして創業した「YASUDA」。日本人の足にフィットするシューズとして多くのファンに愛されたが、経営不振により2002年の日韓W杯を前に倒産してしまう。そのYASUDAが昨年、クラウドファンディングにより奇跡の復活を遂げ、株式会社YASUDAとして新たなスタートを切った。今月には新スパイク「YX-2019」の発売を予定しており、各方面から今後の展開に一層注目が集まっている。YASUDA復活の仕掛人である株式会社YASUDAの佐藤和博社長に、復活の経緯や今後のビジョンを聞いた。

思い入れのあるメーカー

まずは株式会社YASUDAを立ち上げた経緯を教えて下さい。
2017年に弊社グループ会社のクラウドファンディングの会社の第一号案件としてYASUDA復刻に取り掛かりました。きっかけは、フットサルをしているときに友達が、「オールカンガルーのYASUDAのフットサルシューズがあったら履きやすいのでは」と言い出したことですね。フットサル後に調べた時、初めてYASUDAの倒産を知りました。最初は友達と「買えないし、履けないね」と言っていたのですが、「それなら自分の会社で作ってしまえば良い」ということで、YASUDA復刻を立ち上げました。クラウドファンディングでは約300人の方々に支援して頂きました。

最初は会社を作る予定はなかった?
当初その予定はありませんでした。クラウドファンディングの第一号案件として大きな花火を上げて、その後は次のプロジェクトに行く予定だったのですが、サッカー関係者をはじめ色々な方と話をしていると、YASUDAファンの方がたくさんいて。「キャンペーンみたいに一発屋で終わらないよね」、「このままメーカーとしてやって欲しい」という話を色々な方から頂いたので、これは続けなければと思いました。僕もずっとサッカーをやっていて、中学2年生の時からYASUDAを履いていたので、自分の履いていたスパイクを復刻出来るのならそれは面白いかなと思いましたね。これまでモノづくりをしたことがないので大変なのは分かっていましたが、これも良い経験だと思い、株式会社YASUDAを立ち上げました。

佐藤さんにとってYASUDAというメーカーはどういう印象でしたか?
僕は他のスパイクのメーカーだと足が痛くて履けなかったのですが、中学2年生の時にサッカーショップに行った際、「君は足幅の広い、日本人の典型的な足だからYASUDAが良いよ」とお店の人に薦められました。それからはずっとYASUDAを履いていましたね。だからYASUDAは自分にとって思い入れのあるメーカーです。あとは本当に日本人に合うスパイクという印象です。

佐藤社長が履いていたYASUDAのスパイク

ダイレクトインジェクション製法

YASUDAの新スパイク「YX-2019」

手倉森誠氏をアンバサダーに迎えられた経緯と、影響力を教えてください。
手倉森さんを紹介して頂いた方には、「YASUDA世代の人に情報発信してもらった方が良いのでは」と言われて紹介して頂きました。最初にお会いした際、手倉森さんが「高校時代、五戸高校で全員YASUDAのウェアとスパイクで全国に出たよ」「懐かしいし、これは復刻じゃなくて進化している。新しいYASUDAだよ」と言って下さって。その日のうちに「一緒にYASUDAを応援していきたい」と言って頂けました。プロの監督である手倉森さんがYASUDAのアンバサダーに就任したことで、Jリーグの選手はもちろん、指導者や監督、コーチ、エキップメントなど、各方面の方々がすぐに反応して下さいました。だからプロの方々への影響力は手倉森さんのおかげですね。コネクションが出来ました。

今月、YX-2019が発売されます。スパイクの特長やこだわりを教えて下さい。
「YX-2019」は踵の部分を低くし、靴の中の生地にクッション性を持たせています。全体的にアッパー部分を軽量化したので、クラウドファンディングで製作したスパイクよりもYX-2019の方が軽くなっています。また、ベロの部分を短くしていることも軽量化に繋がっていますね。オールカンガルー革なのは変わっていません。

裏のポイントの部分を今後取り換え式にする予定は?
取り換え式の要望はあるのですが、どのタイミングでやろうかなというところですね。以前YASUDAの社員だった方が、「今のこのポイントの数と高さがベストな配置なので、ポイントを減らして軽くさせるとかは絶対にやらない方が良い」と言っていました。今のスパイクは三角やひし形のポイントが多いのですが、足の裏でボールを扱う際にはやはり丸のポイントが一番しっくりくるみたいです。

スパイクを製作するにあたり一番苦労した点は?
軽量化する部分ですね。釘を一本も使わずに熱でアッパーとソールを一体成型するダイレクトインジェクション製法を採用しているのですが、普通に製作するとアッパーが燃えてしまう。アッパーが燃えないようにソールとの間に入れる材料が結構重たいので、そこの部分の軽量化は素材を変えるなどをしないと難しいです。ただ、このスパイクを履いている人は誰も重いとは言っていません。持った感じは重く感じるかもしれませんが、実際に履いてみると軽い。これで選手が重くないというのならこのまま変えずに、例えば後ろの部分を人口皮革か合成皮革にして、前の部分だけカンガルー革にすればもう少し価格的には抑えられるかなと思います。それは今後やっていきたいと思いますね。

 

サッカースパイクから始まった会社

今後の販売展開は?
今はECサイトのみでの販売ですが、サイトからは「試し履きをしたい」という問い合わせが多く来ています。実際、弊社にアポなしで試し履きに来られる方も多くて、その場で購入予約をする方もいました。試し履きをして買って頂く方も多いので、今後はECサイトだけではなく、リアルな店舗で展開していきたいという戦略はありますね。ラインアップについては、スパイクだけではなくトレーニングシューズ、アップシューズ、フットサルシューズ、サンダル、あとはこのままのデザインでスニーカー、タウンシューズみたいなものも展開したい。昔のYASUDAの80年代のカタログを見るとそういうシューズがいくつかあったので、それをそのまま復刻させたら面白いかなと思っています。他のメーカーはウェアから入って最後にシューズを作るのですが、YASUDAの場合は元々安田靴店として創業し、サッカースパイクを作ってからウェアを手掛けました。唯一、サッカースパイクから始まった会社がYASUDAです。だからYASUDAの復刻はシューズをしっかり手掛けていかなければと思っています。まずはスポーツメーカーとしてサッカー、フットサル、ラグビーを中心にやっていきたいです。また、今はゴルフシューズの要望も多いです。サッカーもゴルフもやる方で、ゴルフの時に足元だけでもYASUDAを履きたいというニーズもあります。ただ、いきなり今年ゴルフシューズを作ると「YASUDA、何をやっているの」と言われかねないので、もう少し色々な反応を見ながら、それなりのニーズがあれば作っても良いかなと思いますね。

ラグビーにも展開していきたい?
以前のYASUDAはラグビーシューズも出していて、「YASUDAといえばラグビー」というのが、「YASUDAといえばサッカー」と同じくらいの比率であるみたいです。それなら両方出来るのではということで、全国高校ラグビーの花園ラグビー場にブースを出展したら色々な指導者の方と話が出来ました。バックスの選手はボールを蹴るので、サッカースパイクを履いている選手が多いそうです。代表の選手もサッカースパイクを履いて普通に試合に出ているみたいです。高校の指導者の方々にも、「このスパイクをバックスの選手達に履かせるよ」と言って頂いて、それでラグビーでも履けることを知りましたね。ラグビースパイクだけをやるというのは費用もかかるのでやるつもりはないですが、サッカー・ラグビー兼用みたいな形なら面白いのかなと思っています。

サッカー選手とのスポンサー契約については?
先日アルビレックス新潟の小川佳純選手と契約を締結しました。まずは1人契約出来たのは大きいですね。あとはエキップメントの方にも、自分が履いて良かったら選手達に薦めたいと言って頂いています。選手だけでなく、エキップメントや指導者の方など、色々な入り口はあるのかなと思います。今後、テレビ中継などでYASUDAの2本ラインが映れば良いですね。今は蛍光色やオールホワイトのスパイクが多いので、黒ベースに白ラインが逆に目立ちますよね。あとはジュニアチームのエキップメントの方に「YASUDAのジュニアサイズが出るなら履かせたいです」と言われたりもします。それなら早くジュニアサイズも作りたいとは思うのですが、金額いくらかかるのかなって(笑)。ただ、指導者などの世代はYASUDA復刻で賑わっているので、下の世代の子供達に履かせるならやはりそこも手掛けていかないと、とは思っています。中学生になってからYASUDAを履くよりも、小学生の時から履いてもらいたい。トレシュー(トレーニングシューズ)から始まって、その後スパイクを履く。その5年、10年を見据えてやらないといけないなとは思いますね。

YASUDAを世界の舞台へ

今後のYASUDAのビジョンは?
今は2022年のカタールW杯の時に、YASUDAを履いて試合に出場してくれる選手が1人でもいることが目標です。それが日本人選手ではなく海外の選手でも嬉しいですよね。クラウドファンディングの時から、中東の方が「このスパイクを売らせて欲しい」ということで弊社に来ることもありました。あとは中国やオランダからも来ましたね。フランスの方からは「スパイクの記者をやっていて皆に広めたいから買わせて欲しい」というメールが来ました。そういうのを誰かが見て、買いたい・履きたいとなっていけば面白いと思います。去年会社を立ち上げた時はJリーグの選手に履いてもらうというのが目標でしたが、手倉森さんがアンバサダーに就任してからJリーグの選手に会えるようになり、実際に契約できるとは思いませんでした。今後、選手同士、プロ同士のクチコミで更に広がっていくと嬉しいなと思います。そういう輪が広がっていけば良いですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。
日本ブランドのスパイクメーカーとして復刻したので、まずはその日本ブランドを倒産させないようにしていきます。そして、昔のYASUDAは結局世界に出られないまま終わってしまったので、新しく作った株式会社YASUDAは世界に出て行けるようにやっていきたいと思います。今月「YX-2019」を発売するので、是非皆さんお買い求めください。あとはサッカー、ラグビー、フットサル好きで僕たちと一緒に事業に携わりたい方がいましたら、人材募集しています!

▼YASUDA公式サイト
https://yasudafootball.com

▼スパイクの予約はこちら
https://yasudafootball.com/yx-2019-preorder/

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