COUNTDOWN TOKYO 2020 vol.14 射撃 -SHOOTING-

銃器の登場で生まれた競技

フェンシングは剣術、アーチェリーは弓術と、それぞれ戦闘の手段であった武術が、銃器の発達とともに衰退し、貴族や上流階級の人々の嗜みとして競技化されていったことは本連載でも触れてきた。今回は、その銃器の登場によって生まれた競技、射撃を紹介する。

五輪における射撃には、「ライフル射撃」と「クレー射撃」の2つがあり、15 ~ 16世紀のヨーロッパを中心に始まったのがライフル射撃だ。ライフル射撃はアーチェリー同様、離れた標的の中心を狙い撃つ競技。刑事ドラマなどでよく見かける射撃訓練が想像しやすいかもしれない。実際、日本代表にも名を連ねる選手は自衛隊や警察所属の選手が多い。

第1回目の近代五輪となる1896年のアテネ大会から正式種目として採用され、その後も1928年アムステルダム大会を除いて継続して実施されている人気競技。現在では参加国数が陸上競技に次いで多く、その競技人口の多さを物語っている。

日本が初めて参加したのは1952年のヘルシンキ五輪。以来、1980年のモスクワ大会を除き毎回連続参加し、1960年の第17回ローマ大会ではフリーピストルで吉川貴久が史上初の銅メダルを獲得した。吉川は4年後の東京大会でも同種目で銅メダルを獲得し、1984年のロサンゼルス大会では蒲池猛夫がラピッド・ファイア・ピストル種目で初の金メダル獲得を成し遂げた。

元首相が五輪に…!?

15世紀には始まっていたとされるライフル射撃に対し、18世紀後半に始まったのがクレー射撃。当時ヨーロッパの貴族が、王族しか楽しめなかった狩猟を模して、標的として鳩を放し、撃ち落としたものが始まりといわている。

鳩の替わりに素焼きの皿(クレー)を標的として競技化されたクレー射撃は、固定された標的を狙うライフル射撃に対し、秒速22 ~ 30mで飛ぶ標的を秒速300m以上の散弾で撃つ。反射神経と、飛行するクレーの軌道を予測して撃つ技術が必要とされる。

五輪競技になったのは、1900年の第2回パリ大会から。日本が初めて参加したのは1956年のメルボルン大会となる。著名な選手として挙げられるのが、麻生太郎財務大臣だ。大学時代からクレー射撃を始め、22歳の時に全日本選手権を当時の日本新記録で優勝。1974年に行われた第2回メキシコ国際射撃大会で優勝を果たすが、2年後の1976年モントリオール五輪では日本代表として出場するも41位に終わった。それ以来クレー射撃は封印したものの、2000年5月には日本クレー射撃協会会長に就任。歴代の内閣総理大臣で唯一、五輪出場経験を持っていた。

麻生財務大臣が得意としていたのは、クレー射撃の「スキート」と呼ばれる種目。スキートは1番から8番までの射台を順に移動して行き一定方向に飛行しているクレーを撃ち落す競技。もう一つが「トラップ」と呼ばれる種目で、横一線に配置された5箇所の射台を順に移動しながら1ラウンドにつき25枚の皿を撃破する。25枚のクレーがランダムに放出され、1枚のクレーに対し2発以内で撃破することが求められる。

誰でもメダルのチャンスあり

射撃競技を統括するのは、ドイツ・ミュンヘンにある国際射撃連盟(ISSF)。1907年に国際射撃連合(ISU)として設立され、1998年に現在の名称となった。

日本では1937年に大日本射撃協会が設立され、ISU(当時)に加盟するも、第2次世界大戦終戦とともに大日本射撃協会が解散。1949年には日本射撃協会が設立され、これが1958年に改組となり、クレー射撃競技とランニングターゲット競技を統轄する日本クレー射撃協会(JCTSA)、そしてライフル射撃競技、ピストル射撃競技を統轄する日本ライフル射撃協会(NRAJ)に枝分かれして現在に至る。

日本における射撃競技としての歴史は1921年、当時明治大学の学生であった師尾源蔵が中心となり1924年に第1回関東学生射撃大会を東京赤羽射撃場において開催したところから始まる。

銃を扱う競技ということで非常に敷居が高そうに見えるが、卓越した身体能力を有する必要がなく、決められた手続きを踏んで資格さえ取ることができれば、誰でも五輪を目指せるチャンスがある競技でもある。初心者向けにビームライフル/ビームピストルという資格の要らない銃もあり、よりスポーツとして親しみやすくなってきている。各協会のHPに体験会の案内が掲載されているので、興味を持った方がいたらぜひ、問い合わせてみてはいかがだろうか。

● 公益社団法人日本ライフル射撃協会 HP:http://www.riflesports.jp
● 一般社団法人日本クレー射撃協会  HP:https://jctsa.or.jp

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