三重県スポーツ対談 ミラ監督(鈴鹿アンリミテッド)×クリスタルHC(PEARLS)

三重県鈴鹿市を本拠地とするサッカークラブ「鈴鹿アンリミテッドFC」を率いるミラグロス・マルティネス・ドミンゲス監督と、四日市市を本拠地とする女子ラグビーチーム「PEARLS」を率いるクリスタル・カウアHC(ヘッドコーチ)。ミラ監督はスペイン、クリスタルHCはニュージーランドと、それぞれ母国を離れて日本で指揮を執る外国人女性監督が初対面を果たした。

サッカーとラグビーは似ている

■クリスタルHCはニュージーランド代表デベロプメントチームのコーチなど、様々なチームでのコーチング経験があります。ミラ監督、お会いしてみていかがですか?
ミラ:まず、お会いした印象として、すごくフレンドリーで人との距離を置かない方だと感じました。また、同じ日本で指導する外国人女性ということで親近感があり、今回お会いできたことを嬉しく思っています。早くPEARLS の試合を観に行きたくなりました。スペインはそれほどラグビーの盛んな国というわけではありませんが、ラグビーの試合は観たことがあります。内容が多く詰まったスポーツという印象で、例えばセットプレーが重要であったり、詳しくはありませんが戦術的にも多岐に渡ったり、サッカーに似ている部分もあると感じています。
クリスタル:私たちは会ってすぐに同じような性格なのだと思いました。彼女の自信や知性、情熱は感じ取れたし、日本で積むキャリアも非常に楽しみです。

■お互いに、聞いてみたい質問はありますか?
ミラ:文化や言語の違う国で、一つのチームを指揮することの体験について、どう感じていますか?
クリスタル:私は昨年、スポットコーチとしてPEARLS に携わりました。その際、我々が加わったことでチームに変化がありました。前任の記虎敏和監督が作った素晴らしいPEARLS というクラブのカルチャーに、自分たちがまた異なる文化を持ち込むことで、変化が起こったのです。そういった異なる文化の理解について、抵抗のないチームという印象がありました。チームが自分たちの役割を示してくれたおかげで、自分たちのできることを考えて上手くやれたのだと思います。ミラ監督はいかがですか?
ミラ:言語の違いにおいては難しさを感じることはありますが、そこも日々改善できていると感じていますし、それ以外では問題では難しさを感じていません。来日する前から、日本人は他人を敬う心、教養を持っていて、規律があり仕事に対して真摯であると聞いていました。そして空港に着いたその瞬間から、迎えてくれたサポーター、鈴鹿の街の人々、そしてクラブのスタッフたちがしてくれたことはとても大きなことで、聞いていた以上でした。日本で女性が初めて指導するということについてプレッシャーを感じる部分もありますが、先ほども言ったように来日した瞬間から、空港や記者会見場で周囲の温かいサポートを感じました。私はこの挑戦に対して誇りを持っていますし、たくさんの方々のサポートを感じながら取り組めています。クリスタルさんは練習の中で、日本人選手とニュージーランドの選手との違いを感じますか?
クリスタル:仰る通り、日本には規律だったり、他人を尊敬する文化があって、ほかの国々も真似すべきところだと思います。ただ確実に変えなければいけないことというのは、日本人はトレーニングをし過ぎてしまうというところです。真面目なため、一生懸命働き過ぎてしまうので、自分たちがトレーニングを特定のものに限定するとか、短くまとめるようにして、彼女たちをコントロールしてあげないと、やりすぎてしまう傾向にあります。そういったことも日本人の特徴としてあるので、そこをどれだけ私たちが見ていけるかだと思います。
■日本の文化について、気に入ったものがあれば教えてください。
ミラ:日本人の他者へのリスペクトの部分であったり、サポーター、ファンの方たちの振る舞いは素晴らしいです。あとは食べ物がおいしい(笑)。
クリスタル:何がお好きなんですか?
ミラ:たくさんありますが、特にお気に入りなのはお寿司と焼肉です!
クリスタル:私もその2つが大好きです!特にワサビ醤油で食べるお寿司は夫婦揃って大好物です(笑)。

日本人の規律正しさを生かしたい

■指導する上で、大切にしていることは何ですか?
クリスタル:勝利はみんなが望んでいることではありますが、それを目標にするのではなく、みんなが勝ちたいという気持ちに持っていけるようにしなければなりません。人間として誰もが持っている「勝ちたい」という気持ち。そこを引き出せるように、コントロールするのではなく引き出せるようにしていきたい。
ミラ:選手たちが私の誕生日を祝うビデオを観ていただければ分かると思いますが、選手との距離を近くすることですね。選手と近い関係性でいることで、彼らがどう考えているか、どんなコンディションなのかということが分かりますし、そうした要素が勝利を掴むために大事になってきます。

■どのようなチームを目指していきますか?
ミラ:来日する前から感じていて、日々の練習でも感じていますが、日本のサッカーはスペイン人のプレースタイルに近いと思います。スペインサッカーの戦術的に洗礼されている部分を与えて、日本人のスピード感や俊敏性、規律を重んじて組織力を生かしたサッカーを目指したいです。
クリスタル:速く、常に前を向いて、アグレッシブなラグビーを目指しています。ただ今年はほかのチームも分析してきてくると思いますので、変化も加えながら対応していかなければいけないと感じがています。日本人は学ぶのも速く、規律を守ってくれるので、そういった日本人の得意なスタイルを加えて新しいスタイルを作っていきたいと思います。

■三重にはPEARLS のほか、バイオレットアイリスもあります。しかし、日本ではなかなか女性のスポーツがメジャーになる機会は少ないです。それぞれの母国では女性のスポーツはどのように扱われていますか?
ミラ:スペインでも、女性のスポーツは男性のスポーツに比べればレベルや環境の差はありますが、ここ数年で明らかに、女性の競技者に対しての条件やコンディション、テレビでの露出は大きく改善されてきています。なので、日本でもそうなっていくことを願っています。
クリスタル:ニュージーランドでも女性スポーツは発展しつつあります。特にラグビーは選手数や指導者、レフリー、関係者、メディア露出にしても著しく増えています。ニュージーランドだけではなく世界的に見ても、女性のスポーツ存在感はおおきくなっていると思います。私は若い時に目指すべき憧れのスポーツ選手はいなかったけれど、今は目指すべき女性アスリートがいるので、それは素晴らしいことだと思います。

 

鈴鹿アンリミテッドFC:https://suzuka-un.co.jp
PEARLS:http://mie-pearls.com

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