トライアルバイクの国別対抗戦 トライアル・デ・ナシオン 日本チームが2位表彰台を獲得!!

1984年にスタートし、今年で36回目を迎えた「トライアル・デ・ナシオン」。このトライアルバイクの国別対抗戦に、ヤマハ発動機からは「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の黒山健一が3枠ある日本代表の1人として選出された。昨年4位という悔しい結果を糧に、見事2位表彰台を獲得した今年のデ・ナシオンを振り返る。

トライアル界のワールドカップ

1984年にスタートした「トライアル・デ・ナシオン」も、今年で36回目を迎えた。各国が代表チームを結成し、国の威信をかけて戦う、トライアル界のワールドカップだ。

日本は創設から3年後の1987年に初出場し、最高峰クラスに過去20回出場して2位4回、3位9回の計13度、表彰台を獲得。トライアル強国としのぎを削り、まだ優勝こそないものの、“トライアル界に日本あり”を示してきた。

今年9月28日から29日にかけてスペインのイビサ島で第36回大会が行われ、日本代表チームに、「YAMAHA FACTORYRACING TEAM」の黒山健一、「RepsolMontesa HRC」から藤波貴久、「HRCクラブMITANI」の小川友幸の3選手が選ばれた。もう何年も同じメンバーで世界に挑んでいる日本代表の常連であり、現在の日本最強メンバーともいえる。

デ・ナシオンについて、黒山は「個人戦とは異なる団体戦であることが一番の違いであり、おもしろいところ。セクションを走るのは1人ずつですが、チーム全員が走り上位2人の成績がチームの点数になります。そのため自分の成績だけでなくチームの減点によって戦略がめまぐるしく変わり、チームのための走りをしなければならないなど、通常とは違うプレッシャーがかかってきます」と個人戦との違いを説明。目標は「表彰台に立つ、これだけ」と言い切り、「団体戦ですが、世界で表彰台を狙えるのはトライアルだけだと思います。本来は1位と言いたいところですが、(地元の)スペインに勝つのは難しい。でもイギリス、イタリア、フランスと2、3位を争うことは可能だと思います」と意気込みを語った。

予選最下位もポジティブに

今大会は、イビサ島一番の観光エリアとなるイビサタウンが舞台となり、セクションは15のうちその多くが海沿いに作られた。黒山はその印象について「例えば岩盤エリアは凹凸のある特殊なコンディションで、タイヤのブロックと岩盤の凸凹がかみ合うためバイク操作に力が必要で難しさがあります。また近年トレンドになっている自然の地形を活用した人工セクションも多いのですが、これはそもそも得意なのである程度やれる感触がありました」と話したが、今回は比較的、高難度のセクションが少なく、ミスの許されない神経戦が予想された。

予選には1チーム2人が出場し、タイムの遅いチームから決勝をスタートしていく。日本チームは藤波と小川のホンダコンビがエントリー。昨年は黒山と藤波が走り予選トップとなったが、決勝は4位と表彰台を逃したため、ジンクスも含めてメンバーを変更して臨んだ。

そんな中でも、経験豊富な黒山は「理想はライバルのラインチェックができる2、3番手でしたが、結果は最下位とクラスで最初にスタートすることとなりました。でも昨年は最後のスタートで20分ものタイムオーバーがあったため、最初にスタートできるのはとてもよいこと」とポジティブに捉えていた。

前評判では、世界チャンピオンのトニー・ボウ(Repsol Honda Team)を擁するスペインが本命とされ、残りの2つの表彰台をフランス、イギリス、イタリア、そして日本で争うことが予想されていた。こうした中、日本チームがWorld最初の出走チームとして登場した。

1ラップ目は黒山が先陣を切り、チームメイトに勢いをもたらした。こうして第1、2セクションを減点0で発進。第3セクションで初の減点2、第5セクションで減点1を加えるが、「目標はスペインに食らいつくこと。さすがに強かったですが、背中を捉えるとことができてモチベーションも高まったし波に乗れました」と言うように、日本は好スタートを切った。

しかし、ここは世界最高の舞台、デ・ナシオンである。終盤に入ると日本チームにもミスが発生、特に最終15セクションで減点6となるが、それでもトータル減点12として1ラップ目を減点2のスペインに続く2番手で終了。ライバルのフランス、イタリア、イギリスも後半に入ると安定感を取り戻し、それぞれ減点16、21、25と、戦前の予想通りのメンバーで表彰台を争うこととなった。

ただ1人選ばれたヤマハの代表として

運命の2ラップ目は、「前の2人がクリーンすると3人目は走行をキャンセルするエスケープでとにかく時間を削っていきました」と日本はスピーディーな展開を継続したが、同時にチームワークもさえ渡った。「1ラップ目もありましたが、1人が減点5となっても2人がクリーンする状況を作れました。絶対的な信頼感は藤波にありますが、今大会は特定の誰かというわけではなく、みんなが助け合い補い合うことができ、チーム全体で盛り上がったのが大きかった」と黒山が振り返るように、日本は2ラップ目もスタートダッシュを決めて、8セクション連続で0を並べることに成功。一方、3番手で2ラップ目に入ったイタリアはミスが重なりトータルで減点40と後退したが、フランスとイギリスは中盤までを減点2に抑え、日本に食らいついてきた。

疲れの出はじめる終盤5セクション、第11から13セクションで0を並べた日本に対し、フランスが第11セクションで減点5とし、その差は拡大したが、勝負は最後までもつれ込む。日本は14セクションで減点1とするも、最終セクションで黒山と小川がともに減点5。これで最終走者の藤波選手が減点5となると減点数でフランスと並ぶこととなったが、この緊迫した場面を藤波がクリーンで切り抜け、トータル減点19とし、フランスの終了を待たずして2位以上を確定。残るスペインが最後まで崩れず減点4で優勝には届かなかったが、昨年の4位から再びジャンプアップを果たし、過去最高に並ぶ2位表彰台を獲得。改めてトライアル強国としての存在感を見せつけることとなった。

5度目の2位を獲得した黒山は「今回は藤波選手、小川選手、そして僕で戦いたいとお願いして実現したデ・ナシオンだったし、6月の『Trial E』でも勝てず世界選手権では悔しい思いをずっとしてきましたが、現状ではベストの2位になることができてホッとしたし、やっぱりうれしいですね。また今大会でヤマハのマシンを使うのは僕一人。注目され期待されていることを感じました。その中で高いパフォーマンスを発揮することができ、欧州のファンにヤマハとTYE250Fiが記憶に残るレースにできたこともうれしく思います。そして日本チームにたくさんの応援をいただきましたが、そのすべてが大きな力になりました。本当にありがとうございます。この後は全日本が続きます。これからも頑張りますので、ぜひトライアルを楽しんでください」と喜びを語っている。

11月3日には、スポーツランドSUGO(宮城県)にて全日本トライアル選手権の第7戦(最終戦)が行われる。世界を相手に大健闘した日本代表選手の走りを生で観戦できるチャンスだ。

プロフィール

YAMAHA FACTORY RACING TEAM
黒山 健一(中央)
Kenichi Kuroyama
出身地:兵庫県
生年月日:1978年7月24日

HRCクラブMITANI
小川 友幸(左)
Tomoyuki Ogawa
出身地:三重県
生年月日:1976年10月4日

Repsol Montesa Honda
藤波 貴久(右)
Takahisa Fujinami
出身地:三重県
生年月日:1980年1月13日

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