COUNTDOWN TOKYO 2020 vol.26 ウエイトリフティング -WEIGHTLIFTING-

バーベルの誕生から競技化へ

“重量挙げ”という名前が示す通り、重い物を持ち挙げて自らの力を誇示する行為は、紀元前から行われていた。古代では、部族やグループのリーダーを選ぶ方法の一つとして利用されていた力比べが、ウエイトリフティングというスポーツとして形になったのは、1890年ごろ。バーをつけたダンベル、いわゆる「バーベル」が重量として使われるようになり、第1回アテネ五輪から正式種目として採用されている。
当時は体操競技の一つとして位置づけられ、体重別の階級もなかったが、1920年のアントワープ大会から単独競技となり、階級も整備。1928年のアムステルダム大会から両手による「プレス」、「スナッチ」、「ジャーク」の3種目に整理された。
プレスは、正式にはクリーン&プレスという種目で、地面に置いたバーベルを第1動作(クリーン)で肩まで引き上げて立ち上がり、第2動作(プレス)で“腕の力のみ”を使い一挙動で頭上へ差し上げる。略してプレスと呼ばれるが、1972年に廃止されており、現在は行われていない。
スナッチは、一旦肩まで引き上げる、いわゆるクリーンの動作がなく、地面に置いたバーベルを頭上へ一気に引き上げ、立ち上がる種目。床からほぼ垂直方向にバーベルを引き・引いた高さ付近の位置で支える・立ち上がる・静止する、という一連の動作からなる。 ジャークは、正式にはクリーン&ジャークといい、第1動作(クリーン)で肩まで引き上げて立ち上がり、第2動作(ジャーク)で“全身の反動を使って”一挙動で頭上へ差し上げる。
現在はスナッチとジャークの2種目をそれぞれ3回ずつ、合計6回試技し、各種目の最高重量を合計したトータル記録によって順位が決まる。ただし、挙上中に反則動作があった場合は失敗の試技となり、先に行われるスナッチで3回連続で挙上に失敗するとジャークに進めず失格となる。
バーベルを頭上に挙げた状態で静止し、3人のレフリーの内、2人以上が白いランプをつけた場合に「成功」となるが、バーベルを降ろす際に自分の後方に落としたり、プラットフォーム以外の場所に降ろした場合は失敗となるため、最後まで気を抜くことはできない。
2000年のシドニー五輪からは女子種目も追加された。

高まるメダルへの期待

日本におけるウエイトリフティングの歴史は、1933年に“柔道の父”嘉納治五郎がオーストリアのウィーンでバーベルを購入したことがキッカケとなる。その後、文部省体育研究所において競技の研究を行ったのち、1936年にルール・競技方法などを公表。同年、朝鮮半島から2人の選手を迎えて第1回全日本重量挙選手権大会が開催されている。さらに同年には日本重量挙連盟が発足。第二次世界大戦の開戦により解散を余儀なくされたが、1946年には日本ウエイトリフティング協会と改称し、再発足した。
五輪には、1952年の第15回ヘルシンキ大会以降、ボイコットしたモスクワ大会を除いて現在まで連続して参加。1960年のローマ大会で三宅義信が銀メダルを獲得し、日本人として初のメダリストになった。続く1964年の東京五輪では三宅の金メダルに加え、一ノ関史郎、大内仁が銅メダルを獲得。さらに1968年メキシコ大会では、三宅が自身2個目の金メダル獲得すると、実弟の三宅義行も銅メダルに輝き、兄弟が並んで表彰台に上る快挙を成し遂げた。
女子では、三宅義行の娘である三宅宏実が、2012年のロンドン五輪で銀メダル、2016年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得と親子での五輪メダリストという記録を成し遂げた。
男女別・体重別の競技であることから体格によるハンディがなく、単純なパワー以外にも、テクニック・スピード・タイミング・バランス・柔軟性などスポーツの基本である要素すべてが要求される。このため欧米に比べ体格的に劣る日本の選手でもメダル獲得のチャンスがあり、中でも55kg級の八木かなえ(ALSOK)は全日本選手権5連覇を達成するなど国内では敵なし。衰えを指摘される49kg級の三宅も、自身5度目となる五輪出場に燃えている。
メダル獲得が期待される女子に対し、長らく苦悩の時代を味わってきた男子もようやく希望の光が見え始めている。リオ五輪62kg級でメダルまであと一歩となる4位につけた糸数陽一(警視庁)だ。初めて臨んだ大舞台で、日本新を2kg更新するパーフェクトな試技を見せると、翌年の世界選手権では銀メダルを獲得し、日本に36年ぶりのメダルをもたらした。来年の東京五輪では、男女ともにウエイトリフティングからメダリストが生まれるかもしれない。

●( 写真提供)公益社団法人日本ウエイトリフティング協会 http://www.j-w-a.or.jp

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