COUNTDOWN TOKYO 2020 vol.29 体操 -GYMNASTICS-

世界三大体操

五輪の体操競技として披露されている、いわゆる器械体操の起源は、18世紀のドイツの教育者ヨハン・ベルンハルト・バゼドウを始祖とし、19世紀初頭にドイツの体育家フリードリヒ=ルートヴィヒ・ヤーンが大成させた『ドイツ体操』となる。

鉄棒・鞍馬・平行棒・つり輪などの器械運動が採り入れられており、とりわけナポレオン戦争下での愛国心の養成と体力の育成をめざし、多くの後継者の手により継承・発展された。

一方、19世紀初頭のスウェーデンでは体育家ペール・ヘンリック・リングが徒手体操を中心とした『スウェーデン体操』を創設。ドイツ体操に比べて科学的で、年齢・性別・体力に応じた実施方法がある。準備運動、整理運動としても優れており、日本には明治中頃に導入されて以後、学校体操の主柱となった。

また、20世紀初頭にはドイツ体操とスウェーデン体操の長所を取り入れた民衆体操として、教育家ニールス・ブックによって『デンマーク体操』が確立される。柔軟性の増進に主眼をおいた、連続的でリズミカルな運動が特徴で、日本の学校体操にも取り入れられた。

これらの体操は『世界三大体操』と呼ばれ、世界中で行われている体操競技や体操教育の基盤となっている。
日本には1868年、ドイツ体操が初めて軍隊に採用された。また、学校体操としてもドイツ体操を基にしたアメリカ式の体操を習得した体操教師ジョージ・アダムス・リーランドが指導者を養成し、リーランドの通訳を務めていた永井道明を中心に研究されたスウェーデン体操が学校体操教授要目として1913年に発布され、1941年の国民学校発足までの約30年間に渡って日本の体育界を支配した。

しかし、国民学校発足と同時に体操は一流一派に偏ることなく体操の学理に基づき、良いものを自由に取り入れる方針が立てられ、各種の体操の長所が取り入れられるようになり今日に至っている。

参加国最下位から“お家芸”に

近代五輪では1896年の第1回アテネ大会から競技として採用され、当初は男子のみだったが、1928年の第9回アムステルダム五輪から女子も実施。技の難度や美しさ、安定性などを基準に審判員が判定を行い、得点を競う。男子は「床運動・鞍馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒」の6種目、女子は「跳馬・段違い平行棒・平均台・床運動」の4種目が行われ、それぞれの器具の特性を活かした演技で構成される。なお、女子の床運動は音楽に合わせて演技が行われるのが特徴だ。

かつては規定演技と自由演技の総合得点で競われていたが、1996年のアトランタ五輪を最後に規定演技は廃止され、現在は自由演技のみで競技されている。
採点方法は長年にわたって10点満点制が採用され、1976年のモントリオール五輪において“白い妖精”と呼ばれたナディア・コマネチ(ルーマニア)が、史上初めて10点満点を出した選手として有名となっている。

しかし、選手の得点が極めてわずかな範囲に集まってしまい明確な差がつけられず、些細な誤審でメダルの色が変わる事件が起きたことを発端に10点満点廃止が議論されるようになった。そして2006年から、技がどれだけ難しいのかを得点化したDスコア(技の内容など演技価値点)と、演技の完成度を得点化したEスコア(演技の美しさや出来栄え点)の合計得点を争う上限のない採点方式となって、現在に至っている。

日本は1932年のロサンゼルス五輪から参加し、参加5ヶ国中最下位に終わった。しかし、これを機に国際大会への参加も相次ぎ、学生スポーツとして徐々に盛り上がりを見せ成長。1952年のヘルシンキ五輪では団体5位はじめ種目別でもメダルを獲得すると、1960年にはローマ五輪にて男子団体優勝を果たし、以後約20年間の長期にわたり連覇を続け、さらに個人総合・種目別金メダルも多数獲得。日本の体操は“お家芸”と呼ばれ、20年にわたり世界の頂点に君臨し続けた。

しかし、ボイコット不参加となったモスクワ五輪前後から選手の技能継承の失敗やエースの後継者育成の失敗などの要因で凋落。ロサンゼルス五輪以降は長らく世界選手権を含め金メダル獲得がなく、不振の時代を迎えることに。特に1996年のアトランタ五輪と2000年シドニー五輪はメダルなしに終わってしまう。

そんな中、2003年に世界選手権種目別(鉄棒・鞍馬)で金メダルを獲得、団体でも8年ぶりに表彰台に上がる等、復活の機運が見えはじめた。翌年のアテネ五輪で28年ぶりに男子団体優勝を果たし、再び世界のトップレベルに返り咲いたことを強く印象付けた。以後、北京五輪、ロンドン五輪でも団体銀メダルを獲得する等、種目別・個人総合での優勝含むメダル獲得が続いている。東京五輪でも、体操王国・日本のメダル獲得が期待できそうだ。

● 公益財団法人日本体操協会 https://www.jpn-gym.or.jp

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