SUPER FORMULA 2020 ~世界を目指す若者が日本に集結!~

○ Text by Tomohiro Yoshita

23年ぶりに女性ドライバーが参戦!

2020シーズンに向けて続々と体制が明らかになっている国内モータースポーツ。今年も海外レース以上に見どころ満載となっている。その中でも全日本スーパーフォーミュラ選手権は世界の舞台を目指す若手ドライバーが世界各国から集まってきた。

ここ数年、スーパーフォーミュラは海外からも一目置かれるレースとなっている。このレースで活躍したドライバーがF1やインディカーといった“世界の舞台”へステップアップするケースが増えているからだ。2016年にはストフェル・バンドーンがここで2勝し翌年にはF1へステップアップ。現在は電気自動車のフォーミュラカーレースであるフォーミュラEに参戦中だ。2017年にはピエール・ガスリーが来日。こちらも2勝を挙げランキング2位を獲得し、現在はアルファタウリ(旧トロ・ロッソ)のドライバーとして活躍中だ。さらにフェリックス・ローゼンクヴィスト(2017年)やアレックス・パロウ(2019年)もスーパーフォーミュラでの活躍が評価され、現在はアメリカのインディカーシリーズで活躍している。

こうしたドライバーたちの後に続こうと、今年も日本のレースの門を叩いたドライバーたちがいる。TEAM MUGENの15号車にはレッドブル・ジュニアチームの一員であるユーリ・ビップスが加入した。エストニア出身の19歳であるビップスは昨年のマカオF3で2位表彰台を獲得した実力の持ち主で、将来のレッドブルF1ドライバー候補のひとりとも言われている。実は昨年の最終戦にスポット参戦という形でスーパーフォーミュラにデビューを果たしているビップスは、いきなり上位のタイムを記録するなど才能の片鱗を披露。昨年末のルーキーテストでもトップタイムを記録するなど、すでにライバルも彼の動きを警戒している。前述に登場したドライバーたちのように参戦1年目から優勝争いをする活躍を見せれば、2021年にはF1にステップアップという可能性も十分にありそうだ。

昨年の最終戦でスポット参戦したビップス

ビップスと併せて目が離せないのが、コロンビア出身の女性ドライバーであるタチアナ・カルデロンだ。ここ数年ヨーロッパのレースシリーズで活躍し、昨年はF1直下のFIA F2シリーズに参戦した。さらにアルファロメオ・ザウバー F1チームのテストドライバーも務めるなど、今一番F1に近い女性ドライバーのひとりだ。彼女が加入するのは現在もSUPER GT(GT300クラス)で活躍する道上龍率いるドラゴコルセ。チームとしては4年ぶりのスーパーフォーミュラ参戦となるが、当時と比べるとチーム体制も大幅に変わっており、まさにドライバー・チームともに“イチからのチャレンジ”というシーズンになる。また日本のトップフォーミュラで女性ドライバーが参戦するのも23年ぶりとなる。それだけに開幕戦から大きな注目を集めそうだ。

女性ドライバーとして注目を集めるカルデロン

今年もキャシディ vs山本尚貴に注目

昨年の全日本F3選手権でチャンピオンを獲得したサッシャ・フェネストラズも日本のフィールドで活躍し、世界を目指そうとしているドライバーのひとりだ。F3を戦っている段階から「スーパーフォーミュラで戦うことが今は大きな目標なんだ!」と目を輝かせながら語っていたフェネストラズ。昨年末に鈴鹿サーキットで行われたルーキーテストに参加し、コーナリングスピードではF1をも凌ぐと言われている『SF19』をドライブした際には「本当に最高な気分だ!」と興奮した様子だった。そんなフェネストラズだが非常に勉強熱心なドライバー。ルーキーテストでも時間を見つけてピットストップの練習を自ら申し出ていたほか、走行を終えると全てのデータに目を通しマシンの特徴や自身の走りの分析に時間を充てていた。そして日本のスタッフと円滑に仕事をするために、都内にマンションを借りて生活しており、日本語もメキメキと上達中だ。過去の例を見ても、日本のレース環境や文化にいち早く溶け込んだ海外のドライバーほど早い段階で好成績を出すことが多い。それだけにフェネストラズがどこまで飛躍するのか、楽しみな2020シーズンになりそうだ。

F3を制して“昇格”したフェネストラズ

こういったルーキードライバーたちの壁として立ちはだかるのが、スーパーフォーミュラでのトップランカーたちだ。その中でも特筆したいのが昨年・一昨年とチャンピオンをかけて死闘を演じたニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOMʼS)と山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。ともに優勝すればチャンピオン決定という条件の中で臨んだ2018年の最終戦JAF鈴鹿グランプリでは、最終ラップまで1秒以内の接近戦を繰り広げるデッドヒートを披露。最終的に山本が0.6秒差で逃げ切り、その年の王者に輝いた。翌2019年は2人ともチームを移籍し新しい環境のもとでのシーズンとなったが、最終戦までチャンピオン争いを繰り広げ、2位に入ったキャシディがリベンジを果たし初のチャンピオンに輝いた。

昨シーズンのチャンピオン、キャシディ

間違いなく今のスーパーフォーミュラを引っ張る2人ではあるのだが、特に印象的なのはお互いが“最高のライバル”として尊敬していることだ。昨年も一昨年もレース後にお互いの健闘を称え合う姿にサーキットに詰めかけたファンは大声援を送った。そして2020シーズンも2人はスーパーフォーミュラに参戦する。昨年の勝者であるキャシディは“連覇”を目標に掲げており、一方の山本は“絶対にリベンジする”と強い決意を胸に開幕戦に臨もうとしている。“日本一速い男”の称号をかけ、今年も2人がどんな熱いバトルを披露してくれるのか……王者が決まる瞬間が楽しみで仕方がない。

ライバルと認め合うキャシディと山本尚貴

今年初めから世界中で感染が拡大している新型コロナウイルスの影響で、残念ながら開幕戦の鈴鹿(4月4日~5日)と第2戦の富士(4月18日~ 4月19日)が延期となった。状況次第では今後のスケジュールへの影響も心配されているが、シーズンが始まれば“ここ数年で一番面白い”シーズンになることは間違いないだろう。

●SUPER FORMULA公式サイト
https://superformula.net/sf2/

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