~ finale ~ 17年間、ご愛読ありがとうございました。

2020年夏̶。本来であれば、日本中がスポーツの祭典に夢中になっている時期だった。56年ぶりとなる自国開催に沸き、決して安くはないチケットを握りしめて、世界最大級のスポーツイベントを堪能しているはずだった。

しかし、多くの日本国民にとって記念すべき年になるはずだった2020年は、突如発生した新型コロナウイルスのパンデミックによって台無しに。スポーツや音楽ライブなどの人が集まるイベントは中止、遊園地や映画館などの娯楽施設も営業停止を余儀なくされた。

人々からこれほど娯楽が奪われるのは、2011年の東日本大震災以来だろう。当時は自粛ムードが明けてから一気に娯楽が解放されたが、今回は第2波、第3波に備える必要があり、何かのイベントで一人でも感染者が出れば再び自粛を余儀なくされてしまう。終わりが見えない状況の中で、本当に来年、延期された東京五輪は開催できるのだろうか。そんな疑問さえ浮かんでくる。

もちろん、奪われたのは娯楽だけではない。緊急事態宣言による休業要請で売上が立たず、店をたたまざるを得なかった中小の飲食店は数知れず。リモートワークをはじめとした「新しい生活様式」が一躍脚光を浴びる一方、予算や業種によってリモートや新たなテクノロジーを簡単には導入できない企業はまだまだ多い。

広告業界も、変化の時が訪れた。正確には、変化が“加速した”というべきか。「紙からWEBへ」。もう何年も広告業界で使われてきた言葉だが、この国が高齢化社会だからなのか、WEB広告への移行はそれほどスムーズには進んでいなかった。しかし、このコロナの影響により、自宅で過ごす時間が増えたことで個々のインターネット接触率が急上昇。テレビやスマホ、タブレットを眺める時間が長くなったことで、当然ながら広告の配信先も紙からWEBへと一気に移行する契機となった。

ポスターや看板などのいわゆる交通広告も、至る所で紙から液晶パネルに切り替わり、電車も液晶パネル付きの車両が増えてきている。今後もこの流れは加速していくのだろう。

そうした時世を受け、2003年に創刊した本誌『Spopre』も、今号をもって廃刊することとなった。国内唯一の全国展開するオールジャンルスポーツ専門フリーペーパーとして発行してきたが、相次ぐスポーツイベントの中止、並びにスポーツ関連の広告自粛に伴い、月刊のフリーペーパーとして維持することが困難となり、創刊から17年の歴史に幕を下ろす。

元々、ラジオのニッポン放送が発行元となり2003年8月に創刊。ラジオの番宣や、番組のコーナーと連動した企画ページが多かった。そこから徐々に広告記事が増えていき、ニッポン放送から独立。ほどなくして都内限定ながら駅前でのサンプリング(街頭配布)もスタートし、興味のある人しか読まない設置型のフリーペーパーから、興味のない人にも届けに行くリーチ型のフリーペーパーへと時代に合わせて進化してきた。

この17年で、Spopreが取り上げた夏季五輪はアテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロの4大会。サッカー、野球といったメジャースポーツのみならず、マイナースポーツや公営競技までジャンルを問わず発信してきた。

スポーツに興味のない人も読むことを想定し、ライトユーザー向けに分かりやすく、テキストよりも写真を大きく使って伝えることに重きを置いてきた。そんなライトユーザーが最もスポーツに関心を寄せるのが、4年に1度の五輪。Spopreの特長を最大限生かせる機会でもあったが、残念ながら延期が決まり、自国開催の五輪を迎える前に役目を終えることとなった。

寂しい限りだが、Spopreが終わってもスポーツは終わらない。スポーツは娯楽=エンターテインメントであり、今回のような緊急事態時には補償などが後回しにされてしまった。人が生きていくには、生活していくには、もっと優先すべきものがたくさんある。それでも、娯楽がなければ面白くない。

再開を諦めない選手たち、再開に向けて試行錯誤する運営、好きなチームの応援こそが“生き甲斐”というサポーター…。それぞれの持つ熱量がスタジアムで混ざり合い、人々に興奮と感動を与える。そこで“生きている”ことを実感する人たちがいる。無観客ながらもプロ野球が再開され、Jリーグもこれに続く。徐々にだが、着実にスポーツのある日常が戻りつつある。

Spopreはなくなるが、スポーツを愛する読者は残る。17年に渡ってスポーツメディアの一端を担えたことを誇りに思い、今後もまた別の形でスポーツ界を支援していきたい。一日も早くスポーツのある日常が再び戻ってくることを願って。

廃刊のご挨拶

スポーツ専門フリーペーパー『Spopre』は、2003年8月の創刊以来、国内唯一の全国展開するオールジャンルスポーツを扱うフリーペーパーとして今日まで17年間発行してまいりました。しかし、コロナウイルスの影響による相次ぐスポーツイベントの中止、並びにスポーツ関連の広告自粛に伴い、月刊のフリーペーパーとして維持することが困難となり、創刊から17年の実績をもって一定の役割を終えた、ということにより廃刊が決まりました。

節目となる200号や、自国開催の五輪を迎える前に廃刊することは若干心残りではありますが、17年に渡って毎月毎月、メジャーからマイナーまで数多くのスポーツを取り上げられてきたことに、スポーツメディアとして一定の満足感もあります。

書店などで売られている雑誌と違い、フリーペーパーは広告収入で成り立っている媒体です。企業や協会が広告費を支払ってでも取り上げて欲しい、告知してほしい商品や競技・大会があってはじめて、Spopreの記事ができ、発行されます。広告費が入らなければ、印刷費やデザイン費などの出費だけが残り大赤字。出稿していただける広告主を常に探し、読んでいただける読者の皆さんにとっても読み応えのある誌面を作る。言葉にするのは簡単ですが、一筋縄ではいかない作業を毎月続けてきました。

特に毎号の表紙に関しては、フリーペーパーにとっての“顔”であり、広告主に対して最も“売れる枠”です。私共としても、表紙によって手に取っていただける読者の数が変わってくるため、表紙の選定にはこだわってきました。今回、Spopre創刊号から195号までの表紙を集めて、最終号の表紙にしています。振り返ると、広告色の強い表紙もあれば、旬の話題がピタリとハマった表紙や、広げるとポスターになるような表紙、マンガやイラストが表紙に来た号もありました。皆さまの印象に残っている表紙はありますか?

最後に、本誌をご愛読いただいておりましたお客さまをはじめ、本誌を通じて出会った皆さまに、これまでのご愛顧とご支援を賜りましたことに対して心より厚く御礼申し上げます。

Spopre編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメントは利用できません。

アーカイブ

ページ上部へ戻る