リベンジのウィンブルドン 錦織圭

Britain Wimbledon Tennis

昨年7月、テニスのグランドスラム(4大大会)の一つ、ウィンブルドン選手権(イギリス)で、錦織圭は自身初の16強入りを果たした。しかし、大会を去る錦織に笑顔はない。16強入りの喜びよりも、8強進出を逃したショックの方が大きかったからだ。

――あれから1年。全米オープン準優勝やATPワールドツアー・ファイナルズ進出など次々に日本テニス界の歴史を塗り替え、ひと回りもふた回りも成長した錦織は、ウィンブルドンでの“リベンジ”に燃えている。

進化した錦織が伝統のウィンブルドンに挑む

テニスの4大大会の中でも、最も古い歴史を誇るウィンブルドン選手権。練習や試合の際には必ず白いウェアを着用しなければならないという伝統が有名だが、2015年から2つの変化が生まれた。

1つは、大会賞金額。賞金総額は昨年より約7%増額した2,675万ポンド(約48億5,000万円、約4,060万ドル)と、2011年の1,460万ポンド(約26億5,000万円、2,240万ドル)から4年間で2倍近く跳ね上がっている。

もう1つは、全仏オープン閉幕からの間隔。これまでは全仏オープン閉幕から2週間後にウィンブルドンが開幕したが、今年からは3週間空いての開幕となる。

そんな伝統と格式の高いウィンブルドンで、1995年の松岡修造以来20年ぶりとなる8強進出を目指す錦織圭もまた、この1年間で大きく変化、そして進化してきた。

2013年にグランドスラム優勝経験者のマイケル・チャン(アメリカ)がコーチに就任して以降、錦織の実力は右肩上がりに上昇を続け、昨年8月から9月にかけて行われた全米オープンではアジア出身男子初となる決勝進出を果たす。マリン・チリッチ(クロアチア)に敗れて優勝こそ逃したものの、準決勝では世界ランク1位で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に勝利しており、世界のテニスファンに強烈なインパクトを残した。

その後も2週連続大会制覇など勝利を重ね、2014年のATPレース・ランキングで5位に入り、8位までしか出場できないATPワールドツアー・ファイナルズにアジア出身男子として初出場。準決勝でジョコビッチに敗れ決勝進出はならなかったものの、シーズン通算54勝14敗(勝率.794)で2014年の世界ランキングを5位で確定させた。

錦織が越えるべき2つの壁

錦織の進化は今年に入ってもとどまるところを知らない。2015年最初のグランドスラム、全豪オープンでは自身3年ぶり2度目となるベスト8進出を果たし、3月には世界ランキングで自己最高となる4位に浮上。第5シードで出場した6月の全仏オープンでは地元フランスのジョー=ウィルフリード・ツォンガにフルセットの末敗れベスト4進出を逃したものの、1933年の佐藤次郎以来82年ぶりとなるベスト8進出を果たした。負傷していたとはいえ、昨年の全仏オープンで1回戦敗退を喫していたことを踏まえても、今の錦織が1年前とは比べ物にならないほど成長していることは誰の目にも明らかだろう。

世界ランキング5位で臨む今回のウィンブルドンでグランドスラム優勝という歴史的快挙の達成に期待がかかる錦織だが、世界の壁はまだまだ高く、そして分厚い。特にジョコビッチ、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、アンディ・マレー(イギリス)の通称“BIG4”は、ウィンブルドンでも錦織が越えるべき障壁だ。

また、ライバルたちもさることながら、錦織が乗り越えなければならないもう一つの壁が、“グラスコート”への適応だ。ウィンブルドンは芝を敷き詰めたグラスコートでの戦いとなるが、このコートではボールが滑り、弾道が低く球足が速い。芝の状態によっては不規則なバウンドも起こりうるため、パワーがあり、いわゆるサーブ&ボレーのスタイルを得意とする選手に有利とされる。逆に錦織のようなストロークが得意な選手にとっては不利で、他の大会以上にビッグサーバーへの警戒が必要だ。

20年ぶり快挙達成でリベンジへ

グランドスラムの中でも、錦織にとって最も難関な大会といえるウィンブルドンだが、錦織は1年前のウィンブルドンでベスト8進出まであと一歩に迫っている。当時の世界ランキングは12位で、今は5位。日本国内の注目度も、昨年の全米オープンを境に一変している。

他のライバルたちからも警戒されているため、勝ち上がるのは昨年以上に困難だとの見方もあるが、今の錦織はこの1年で蓄積された経験と技術、そして多少のアクシデントでは動揺しない精神力が備わっている。直近の全仏オープンで強風に苦しんだ際も、試合後半には持ち直してフルセットに持ち込んだ。接戦を制したツォンガも「錦織が作戦を変えてきて苦労した」と激闘を振り返っている。

また、不得手とされてきたサーブも1年間で大きく成長。サーブスピードが向上しているほか、精度も高まっており、強敵相手にサービスエースを決めることも珍しくなくなった。グラスコートはサーブの攻防が鍵を握るだけに、錦織の成長ぶりを確認するには絶好の舞台ともいえる。悔しさを残して去った昨夏のウィンブルドン。苦手なグラスコートを克服し、日本人男子20年ぶりのベスト8進出を果たしたとき、錦織のウィンブルドンへのリベンジは成就される。

プロフィール

錦織 圭 Kei Nishikori
1989年12月29日生まれ 島根県出身
身長/体重:178cm/70kg
世界ランキング:5位 ※6月15日現在

大会スケジュール

6月29日(月) 男子シングルス1回戦、女子シングルス1回戦
6月30日(火) 男子シングルス1回戦、女子シングルス1回戦
7月1日(水) 男子&女子シングルス2回戦/男子&女子ダブルス1回戦
7月2日(木) 男子&女子シングルス2回戦/男子&女子ダブルス1回戦
7月3日(金) 男子&女子シングルス3回戦/男子&女子ダブルス2回戦/ミックスダブルス1回戦
7月4日(土) 男子&女子シングルス3回戦/男子&女子ダブルス2回戦/ミックスダブルス1回戦
7月6日(月) 男子&女子シングルス4回戦/男子&女子ダブルス3回戦/ミックスダブルス2回戦
7月7日(火) 女子シングルス準々決勝/男子&女子ダブルス準々決勝
7月8日(水) 男子シングルス準々決勝/女子ダブルス準決勝
7月9日(木) 女子シングルス準決勝/男子ダブルス準決勝
7月10日(金) 男子シングルス準決勝/男子ダブルス準決勝/ミックスダブルス準々決勝
7月11日(土) 女子シングルス決勝/男子ダブルス決勝/女子ダブルス決勝
7月12日(日) 男子シングルス決勝/ミックスダブルス決勝

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