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シーズンは3年連続の200本安打を前に極度のプレッシャーからそれまでに経験のなかった吐き気に襲われた。今シーズンとて開幕直後の4月は25安打で2割5分8厘。イチローらしからぬ不調にあえいでいた。監督とコーチから選球に主眼を置いて打席で待つことをアドバイスされたためだった。コーチのポール・モリターは、イチローへのアドバイスは誤りだったことを認め、よりアグレッシブなスタイルに戻すことを逆に提案したという。そして5月以降、記録破りの快進撃が始まる。しかし、チームの状態は最悪のままだった。「プロとして勝つことだけが目的ではない」と言う。プロとして自分自身が何をしたいのか、忘れてはいけないことを自分自身が自分自身に教えられたシーズンだったと振り返る。イチローは発言の中に「自分自身」という言葉を多用する。それはいかに自らを奮い立たせてきたかと言う証なのではないかと思う。凄まじいほどの執念がイチローの「自分自身」となったのだろう。
イチローの体躯はそれほど大きくはない。パワーで勝負する巨漢選手の揃う大リーグのなかではむしろ小兵の部類に属する。そんな小さい体でするプレーをイチローは多くの子供たちに見て欲しいと言う。「こんなちっちゃな体でも大リーグでこんな記録が作ることができた。日本の子供たちだけじゃなくアメリカの子供たちにも言いたい。自分自身の可能性をつぶさないでほしい。大きさや強さに対する憧れが自分の可能性をつぶしてしまっている人がたくさんいる。そうではない。自分自身の持てる能力を生かすこと、それが可能性を広げることになる」
イチローの自分自身の持つ可能性はいったいどこまで広がるのだろうか。ただしイチローは打率4割というのは目標にはないそうだから、さしずめピート・ローズの通算4256安打、ジョー・ディマジオの56試合連続安打、タイ・カッブの9年連続通算12回の首位打者あたりがレコード・ブレイカーの次なるターゲットとなるのだろうか。それにしても、野茂がメジャーリーグに挑戦して10年。あの頃、日本人選手が次々にメジャーの記録を塗り替えていくなんて誰がいったい予測しただろうか。余談になるが、事情はどうあれ絶頂期にある二人の偉大な日本人選手をさっさと大リーグに送り出してくれた近鉄とオリックスに野球ファンとして感謝したい気持ちで一杯だ。 |
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メジャーリーグの今シーズン後半、イチローの記録更新が話題になり始めてたころ、常に名前が登場していたのが「ジョージ・シスラー」だった。シスラーがこれまでの歴代1位安打数257を達成したのは1920年。この年、セントルイス・ブラウンズ(現在のボルティモア・オリオールズ)の3番打者として8月から9月にかけては41試合連続安打を記録、シーズンを通じて154試合に出場して、なんと打率.407を残したのだった。4割オーバーは1922年にも記録。
もともと、シスラーはミシガン大学時代はピッチャーとして活躍し、50試合に登板し、全勝という信じられない記録も残しているほど、走攻守に超一流の才能を見せていた。
現役時代のシスラーは健康に人一倍気を遣い、生涯、禁酒禁煙を通した非常にストイックな選手だった。そのあたりもイチローと共通するところがある。また1973年3月26日に80歳で死去したが、この年の10月にイチローが誕生しているのである。もしかしたら、イチローってシスラーの生まれ変わり!? |
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