ょうど今から10年前の1994年のパリーグ、開幕前の選手名簿に「イチロー」という風変わりな名前が登録された。人気のないパリーグで話題づくりかと思われたその選手は、もみ上げのないテクノカットの、まだ少年かと見まごうほど線の細い選手だった。風変わりな名前の、線の細い選手は、重心を前後に大きく移動させる妙チクリンなフォームであれよあれよとヒットを量産した。妙チクリンなバッティングフォームは“振り子打法”と呼ばれ、年間210安打というぶっちぎりの日本記録を作った。
あれから10年。イチローは、84年間も破られることのなかったメジャーの年間安打記録をあれよあれよと塗り替えてしまった。メジャーに移って4度目のシーズンとなった今年だが、チームが勝てなかったこともあってか開幕直後はあまり調子がよくなかった。それにメジャーでのルーキーイヤーが242安打で首位打者獲得と華々しかっただけに、この3年連続200本安打はしているものの(充分スゴイのだが)お気楽なファンの立場からすればジリ貧気味に感じていたせいもある。
ところがイチローは、「何が起こったのか!」と思うくらい突然打ち始めた。5月に自身2度目となる月間50本安打を記録すると、7月8月と月間50本を記録し、勢いはとどまることを知らなかった。毎年終盤にはスローダウンしてしまう傾向があったのに今年は、まったく衰えるどころか、オールスター前が3割2分1厘に対して後半は何と4割2分9厘という驚異的なペースで安打を重ね、終わってみれば年間262安打という驚異的な安打記録を達成してしまった。
デビュー以来の連続200安打、連続3割、通算安打、生涯打率、よほどの事故でもない限りイチローは数々の記録を更新し続け、タイ・カッブやルー・ゲーリック、テッド・ウイリアムスといった伝説の大リーガーと並び称されることだろう。
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