月にはいって松井はヒットを量産し始めた。ここ一番と言う場面では貴重なタイムリーヒットを打ってチームの勝利に貢献し、イチローもなし得なかった週間MVP、そして月間新人賞を獲得する。何が松井に起こったのか。
「ひとつはストライクゾーンの見極めでしょうね。つい振らされていたコースを待てるようになった。当てに行っていたボールを、打ちにいけるようになった。スイングに自信が持てるようになったといっていましたね。そのターニングポイントになったのは、190打席ぶりの本塁打となったシアトルでの第4号だと言ってましたね。この一発で何となくニュアンスをつかんだと。
彼の欠点は、彼自身が言うように左手の返しが早いことでしょう。それは強烈なスピンにも繋がっていたのでしょうが、6月くらいからはその左手を返さずに打つ練習を繰り返してますね。トップの位置からインパクトまでを最短距離にし、むしろ前に大きく振る。左手は返さずに押し出すようにするんだと言ってましたね。それからライナー性の強い打球が多くなりましたね。二塁打が多いのは顕著な表れですね。
それに目を見張るのは打点の多さです。7月の時点でもう70を超えているわけでしょ。打順が違うから比較にはならないけど、イチローの過去最高が69打点ですからね。このまま順調に行けば120打点はいくでしょ。新人で100打点を超えたのはメジャーの長い歴史の中でもたったの9人しかいないわけですから、これはすごい数字ですよ。
それに松井は打点に一番こだわっています。主軸を打つ打者にとって打点というのは、最大のチームヘの貢献ですからね。それはトーリ監督も評価していましたよ。6月7月にチームが快進撃できたのは松井の働きが大きいとね。彼もまた打点が多くなればおのずと打率も上がってくるだろうと言っています。ホームランは出るに越したことはないけど、それよりもチームの勝利だとね。打点の多さは勝負強さの証明ですよ」
|