ジャーのベースボールは、日本の野球のように4番に特別な感覚はない。点を取るために効率のよい打線を組んでいる、というだけである。だからチーム1の主軸は多く打席が回ってくる3番であるという。それでも4番が重要な主軸であることに違いはない。しかもあの「ヤンキースの4番」となれば、やはり特別なものだろう。
松井秀喜の今シーズンの成績は、ルーキーイヤーの昨年をすべてにわたって凌駕した。昨年同様チームでただ1人162試合に出場し、打率は.287から.298へ、打点は106点から108点へ、そして本塁打は16本から31本へと倍増した。レッドソックスとのリーグチャンピオンシップに敗れ、惜しくも2年連続でのワールドシリーズへの出場は果たせなかったが、11試合を戦ったポストシーズンのうち10試合を「ヤンキースの4番」として出場をはたした。ガチンコ勝負のポストシーズンにあって51打数21安打、本塁打3本、13打点、打率はなんと.421というハイアベレージを残した。
昨年、メジャーデビューを果たした“ゴジラ”のニックネームを持つ日本のホームランキングは、チャンスには強いものの長打は少なく“ゴロ・キング”などと中傷されることもあった。松井自身も「僕は中距離ヒッター」とコメントしたりして、日本のファンは少なからず失望した。ところが、今期の松井は、あきらかに昨シーズンとは違っていた。左手首を早く返してしまう悪い癖を矯正し、逆に前方に大きく押し込むフォームに変貌していた。ために筋力を必要とした。腕や胸板、大腿部など強化改造した肉体は、昨年よりもひとまわり大きくなっていた。そして成果は確実に数字となって現われた。
今シーズン終了後、松井は「来年はもっと大きいのを打ちますよ」と言った。海を渡った“ゴジラ”は、どうやら牙と爪を強化しながら虎視眈々と獲物の様子を伺っていたようだ。
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