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金子:2011年、ラグビーのワールドカップ(以下W杯)を日本で開催する、というのはどこから出てきた話なんですか?
平尾:ラグビーは冬のメジャースポーツですが、サッカーがプロ化されたことでラグビーはちょっと遅れてしまった。ラグビーがもっと普及発展するには大きな刺激が必要だ、と。そうした中でW杯というのは大きな起爆剤になります。それに日本でW杯を開催するというのは、世界のラグビー界から見ても非常に大きな意味があるんです。ラグビーのW杯はこれまで限られた地域でしか開催されていません。それをアジアでやるというのは、ラグビーがこれから世界的な本当の意味でのグローバルなスポーツとして発展するためには重要な意味を持つことになります。
金子:ニュージーランド、南アフリカなどと招致を争っているわけですが、2002年サッカーW杯の場合は、日本と韓国がアジアの中で争って、報道はありませんでしたが、水面下では相当醜い足の引っ張り合いがあったと聞きます。ラグビーの場合は他のアジアの国々の反応はどうですか。
平尾:それはないです。きちんと支持を明言してくれています。ただアジアのラグビー界というのは、世界の中ではまだまだ小さい。でも世界の人口の60%がアジアだということを考えれば、今は影響力がないかもしれないけど、将来的には大きなマーケットに育つ可能性があるわけです。これをIRB(国際ラグビー連盟)がどう取り組んでいくか、そこがW杯を日本で開催できるかどうかの大きな論点になると思います。
金子:招致活動というのはどんなことをやられているのですか。サッカーのW杯やオリンピック招致のためのロビー活動は大変だと聞きますが。
平尾:ロビー活動という言葉さえ使うなと言われるくらいに、サッカーに比べると非常におとなしいです。ロビー活動というより理解活動という感じですね。投票権のある国々を「我々はこんなふうに大会を運営していきます」とアピールして周ったり、アジアでカンファレンスを開いたり、世界セブンという大会を開いて各国の方々に日本に来てもらったり、という具合ですね。国内向けでは、サッカーの方にも協力してもらって署名活動をしたりと。ラグビーの世界は、良くも悪くもアマチュアリズムという純粋性の部分がまだ残っていて、ロビー活動のようなことが嫌われるんです。だから、よく言われるような極端にえげつないことはないですよ。
金子:2011年に日本でラグビーのW杯が開催されるとして、6年後、開催国である日本代表は世界の強豪と伍して戦えますか。
平尾:開催国である以上は、最低でも決勝トーナメントに残らないと。あと6年でどのくらい強化できるかと考えると、これはなかなか難しいけども、まったく不可能ではないと思います。 |
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金子:ラグビーの関係者に話を伺うと、必ず嘆くように体力の差ということを言われますが。
平尾:例えばサッカーは非常に技術力が重要とされる競技ですよね。ところがラグビーは、技術力に加えて体力が求められます。体力の中には体格も含まれてくる。ここの部分は如何ともし難い。そういうハンディを克服するゲームができるか、という戦略戦術的な問題があります。日本が躍進するには、もう一つ問題があります。それはルール改正です。ラグビーには「選択」という他の競技には見られない面白いルールがあります。サッカーでボールがタッチラインを割った時に、スローインとキックを選択するということはないですよね。ラグビーではキックとスクラムのどちらかを自分で選択できるルールがあるんですが、これを拡大解釈したらどうかなと僕は思うわけですよ。例えば日本はラインアウトが弱いので、スローインじゃなくてスクラムという選択をルール改正して設けるとか。そうすれば少なくともマイボールからゲームが再開されるから攻めの時間が増えることになる。つまりは失点の可能性が減って得点のチャンスが増えますよね。ラグビーはイギリスで生まれたスポーツだから、イギリス人のサイズでルールが作られたと思うんですよ。まさか体の小さいアジア人と一緒にやるなんてその時は予想もしていなかった。グローバル化を視野に入れた本当のフェアネスという観点からルール改正という議論はあり得ると僕は思う。
金子:そうか。これまで自分たちが勝つようにルールを変えてきたのはヨーロッパですから、日本からルール変更を持ち出すというのは痛快ですね。
平尾:僕は常に、ツール(道具)とロール(役割)とルールは見直すべきだと思っています。ボールの大きさ、フィールドの広さ、ポールの幅など、これは我々に有利なのか不利なのか、とね。
ラグビーのルールは難しいとよく言われますが、日本が強くなって興味を持ってくれて、ゲームを観るようになったら、自然とルールは覚えるものだと僕は思います。是が非でも2011年に日本でW杯はやるぞ、という気持ちです。 |
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