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| これほど毎レースが楽しみなシーズンはない。今季のMotoGPは、近年稀に見る白熱のバトルが繰り広げられている。昨季は17戦中11勝、13戦目のマレーシアGPで早々に最高峰クラス5連覇を達成した最強王者ヴァレンティーノ・ロッシだが、若手ライバルの躍進著しい今季は、不調の序盤戦を経て、第10戦ドイツGPでようやく4勝目を手に入れたところだ。ヴァレンティーノとヤマハのマシンYZR-M1のコンビは今季で3年目。2年目の昨季こそ天才ライダーとの見事なケミストリーとともに開発力を見せつけ、ライダー、チーム、コンストラクターの各タイトルを総ナメにしたヤマハだが、他メーカーの追随も激しい今季は、ディフェンディング・チャンピオンとして苦しいシーズンが続いている。特に巻き返しを計るホンダは若手の急先鋒マルコ・メランドリ、ニッキー・ヘイデンらに加え、04・05年250cc王者ダニエル・ペドロサを1シーズン目から優勝させるなどマシン性能の飛躍的な向上を示してみせた。さらにはベテランのロリス・カピロッシとセテ・ジベルナウが健在のドゥカティ、中野真矢擁するカワサキも手応えのあるレースで昨季以上の成績を上げ、メーカータイトルのポイント争いも熾烈だ。メーカーの熱き戦いが舞台裏で繰り広げられる中、ライダーたちの走りは、転倒と紙一重のテクニック、そしてチームの威信をかけた精神戦へと突入しつつある。 |
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| 世紀が変わると同時にタイトルを欲しいままにしてきた“ザ・ドクター”ヴァレンティーノ・ロッシにとって、今季は恐らく生涯初めての正念場だ。初戦でいきなり接触・転倒の不運を被ったヴァレンティーノは、序盤戦のマシントラブルも続き、このままシーズンを終えてF1に転向するのでは、との憶測さえ流れていた。だが、王者は甦った。第6戦のイタリアGPを前にヤマハとの契約続行を発表すると、カピロッシとのイタリア人同士のデッドヒートを制し、地元ファンの大歓声に応えたのである。自身が「これまでで最も困難なレース」と語るように、まさに死闘だった。いつもなら競っている相手を一度先行させておきながら料理するの余裕のレース運び。だが、多数の若手ライダーが続々と来襲するのが今シーズンだ。ラストラップまで予断を許さない状況の中、1人また1人と類い稀なるテクニックでパスし、最後の一騎討ちを0.5秒で振り切る走りは誰が見ても背筋のゾクゾクする魂のライディングだった。さらにヴァレンティーノは第8戦の予選で右手首と左足首を骨折するアクシデントにも見舞われる。だが、最下位スタートで挑んだ決勝では、骨折のまま調子を取り戻し、8位まで挽回するという凄まじいレースも見せてくれた。とくにこのオランダGPでは、相棒コーリン・エドワーズがヴァレンティーノの負傷をカバーする激走でトップを争い、2人のガッツに観衆が総立ちの拍手を送る感動的なグランプリとなった。もちろん連覇記録もかかるヴァレンティーノだが、今シーズンは、きっと記録以上の大きな感動を与えてくれるに違いない。 |
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