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JRAのホームページには、「日本馬海外遠征特集」なるコンテンツがある。
10月1日(日)に行われる凱旋門賞を目指し、フランスに滞在し調整を図るディープインパクトの情報も逐一報告されている。その他にも海外競馬のニュースや過去の日本馬の海外挑戦史など、ご丁寧に多くのネタが提供されており、競馬の情報供給量は、サッカーや野球に負けず劣らずの頑張りを見せている。ディープインパクト(以下ディープ)というスターホースをきっかけに、スポプレ読者にも、競馬の奥深さ、スポーツとして、ギャンブルとしての面白さを知ってもらえればという思いはこちらにもあるのだが、そのヒートアップは既に高いボルテージに届いているようだ。
ディープが目指す世界最高峰のレース・凱旋門賞は、ロンシャン競馬場(芝2400m)で行われる。パリ郊外、ブローニュの森にあるこの競馬場に、どうやら相当数の日本人サポーターが訪れることになりそうだ。何しろ滞在1週間程度のツアーは各社ほぼ満員。個人で行く人の数も多く、またプレスの取材申請者だけでも300人を超えるとか…。歴史的快挙の瞬間が見られるかも知れないのだから、その気持ちは理解できる。サッカーのワールドカップに日本が優勝するくらい凄いこと、そりゃ現地で見たい!というものだ。
現在、世界ランク1位になっているディープインパクトの実力は紛れもなく日本競馬史上最強といっていい。昨年12月の有馬記念こそ、ハーツクライの先行策に屈したが、その後の3戦の圧勝ぶりは精神的な成長もうかがえ、11戦10勝は非の打ち所がない。先輩格のハーツクライが世界に先んじて、ドバイシーマクラシックに優勝、キングジョージで好勝負の3着と、既に世界標準の能力は証明されているのだから、俄然、凱旋門賞制覇の夢が現実味を帯びてくる。
ところが浮かれてはいられない。4歳馬であるディープインパクトにとって、データ的に凱旋門賞は相当厳しい戦いなのだ。何しろ凱旋門賞は過去10年3歳馬が8勝、残りの2勝も2着は3歳馬と、圧倒的な差がついている。その要因のひとつが背負う斤量。4歳以上の馬59.5キロに対して3歳馬は56キロ。俗にサラブレッドが心身共に完成するのは4歳秋と言われており、その意味では公平な斤量のはずが、3歳春のビッグレースを中心視する傾向や、育成・調教課程の進化もあり、能力の高い3歳馬にとって、この斤量差が有利に働いている。そのうえ、ディープは日本で58キロまでしか背負っていないのだから、ちょっと可愛そうな気もする。さらに起伏のあるコース形態と深い芝はパワーが要求され、スピードの絶対値で勝るディープにとって有利とは言い難い。また過去10年、前走から2ヶ月以上レース間隔の開いた馬も苦戦中、6月の宝塚記念以来実戦を離れているディープにとって嫌なデータだ。キングジョージで歴史的快挙を逃したハーツクライ陣営が口を揃えて言っていたことは「アウェイの舞台、100%ではだめ、120%の状態じゃないと勝たせてもらえる相手じゃない」と、世界の頂点を制する難しさを語っていた。恐らくディープの能力は世界屈指でも、凱旋門賞という舞台で、すべてを出し切れない可能性もかなりあるということ。ホームの相手に自己ベストのパフォーマンスを見せられてしまったら、それは楽な戦いになるはずがない。過去20年、フランス調教馬が13勝というのも地元馬の意地の表れ。どこかのCMではないが、ディープにつきつけられたカードの選択肢は厳しいものばかり。どうする、どうするディープ?この続きは…凱旋門賞を見るべし、ということしかない。
当面のライバルは昨年の覇者であり、キングジョージを制したハリケーンランと言いたいところだが、こちらも4歳馬であり、また連覇した馬は1978年のアレッジド以来ない。父モンジューも4歳時に連覇を失敗しており、こちらも苦戦必至の様相の中、偉業に挑むことになる。フレッシュな3歳馬では、英国ダービー馬サーバーシー、アイルランドダービー馬ディラントーマスらが虎視眈々。ディープにとっての刺客は手強い。それでもディープの奇跡を信じて声援を送ろうではないか。フランスに行けなくても、着飾ってシャンパン片手にホームパーティー、そんなテレビ観戦はどうだろうか。少なくとも、お揃いのTシャツとかを着て大騒ぎしないこと。凱旋門賞を楽しむということは、ヨーロッパ競馬の真髄に触れ、文化を学ぶこと。偉大なる夢に挑む瞬間を心して楽しむとしよう。 |
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