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| 8月6日ハンガリーGP、ホンダのジェンソン・バトンが表彰台の一番高いところに立った。F1参戦113戦目。史上3番目に遅い初優勝だ。F1界きっての伊達男として女性ファンからの支持も高いバトンが、卓越したマシンコントロールの持ち主で、スマートなレース運びが魅力の超一流ドライバーであることに違いはない。だが、その一方で、気性の強さに欠けるバトンは、いつもあと一歩で優勝を逃してきた。2000年にウィリアムズから念願の正ドライバーシートを獲得するも、モントーヤやアロンソの台頭によって度々移籍を余儀なくされ、2004年にはB.A.Rホンダをコンストラクターズ・ランキングで2位へ導いたが、入賞は果たしても最高位は3位。日本では「女王陛下のスピードスター」と持ち上げられるほどの人気を誇ったが、母国イギリスでは「契約金が高い100戦未勝利ドライバー」と辛口に評されることもしばしばだった。2005年シーズンから今年にかけては移籍騒動の末、違約金を払ってまでホンダに残留。それらの苦労がついに報われた格好だ。この日はまさにバトンの能力が如実に発揮されるレースだった。予選でのペナルティ処分により14番グリッドというビハインドを背負ったバトンだったが、雨上がりでウエット・コンディションからスタートとなった決勝のハンガロリンク・サーキット。バトンは確実な走行でチームメイトのバリチェロを追いながら順位を果敢に上げると、シューマッハやライコネンらが次々と接触を起こすサバイバルレースの中、一気にトップを行くアロンソの背後へ詰め寄る。そして路面が乾き、王者アロンソまでもがタイヤチェンジの装着トラブルから自滅。終始動じずクレバーなレース展開を披露したバトンが、念願のチェッカーを受取ったのだ。 |
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トップを快走するバトンがラスト1周を駆け抜ける中、ホンダ陣営のスタッフたちは、歓喜の熱い涙をこらえ切れずに口元や目頭を押さえていた。
「チャレンジして失敗するよりも、何もしないことを私は恐れる」。
本田技研の創設者、故・本田宗一郎氏が、その言葉とともにバイクメーカーからF1参戦を英断したのが、今から遡ること42年。1965年にオール自社開発チームで瞬く間にメキシコGPで勝利をさらった第1期ホンダは、67年の第9戦イタリアGPでも勝利を重ねるが、市販車用低公害エンジンの開発のため、翌68年にF1から撤退する。83年復帰後から92年までは、ウィリアムスのネルソン・ピケ、88年に16戦15勝の偉業を達成したマクラーレンのアイルトン・セナらF1史に燦然と輝くドライバーたちに高性能エンジンを供給。「HONDAなくしてF1は勝てない」と言われるほどの伝説を築き上げたが、この第2期はエンジン供給のみだったため、優勝しても日本の国歌が流れることはなかった。そして2000年、B.A.Rホンダ体制から迎えた第3期のホンダは、2006年よりB.A.Rを買取り38年ぶりに純ワークス体制を発足。ジェンソン・バトンが優勝した13戦ハンガリーGPで67年以来39年ぶりの「君が代」を世界最高峰の舞台で響かせたのである。 |
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| バトンはこの前後のドイツGPとトルコGPでも4位入賞を果たしており、相棒ルーベンス・バリチェロも好調。モータースポーツ史に新たな1ページを記したホンダレーシングが、モチベーションを維持したまま日本GPで初の母国優勝を飾る可能性も高まってきた。いや、こうなったらトヨタにも優勝してもらいたい!…という際限ない欲求はさておき、気になるのは、やはりルノーとフェラーリがシノギを削るシーズンタイトルの行方だろう。今シーズンの開幕直後は、まさに世代交代の狼煙を上げた昨季王者フェルナンド・アロンソの快進撃が続き、一時はシューマッハが力ずくで反撃するも、第6戦の母国スペインからアロンソは圧巻の4連勝。だが、シューマッハはまだ終わっていなかった。今後の去就が注目されるフェラーリの皇帝は、意地でも今シーズンを勝って終わってやるという執念がみなぎっている。多重クラッシュで9台のみが完走となったアメリカGPで再び甦ったシューマッハは3連勝でアロンソとのポイント差を縮め、同僚フェリペ・マッサとともにルノー追撃を開始。タイトル争いはまさに最終戦まで分からない状況となっている。日本GPを含めた終盤戦は、両陣営の気力も左右する激戦になること必至だ。そして日本GPでの走りを目に焼きつけておきたいのが、90年に初めて日本人として表彰台を獲得した鈴木亜久里氏が「BORN IN JAPAN」のコンセプトを掲げて参戦したスーパーアグリ。新シャシー「SA06」の開発難航やセカンドドライバーの変更をはじめ多くの苦難を味わった1年目となったが、佐藤琢磨の走りそのものに陰りはない。多数のエントリー殺到が予想される2008シーズンに先んじて「無謀」と言われながらも果たしたチャレンジは、年を追うごとに結実するに違いない。鈴鹿サーキットでその片鱗が見られることを期待しよう! |
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