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満を持してジョッキーのムチが入り、一気に“飛ぶ”のかと思われたが…ディープがライバルを突き放せない。そして懸命に粘るゴール前50m、外から3歳の刺客・レールリンクが並びかけ一気に交わす。歴戦の牝馬・プライドも迫り、最後は3着でのゴール。
勝ち馬とはおよそ1馬身、手にかけた世界制覇の夢はかなわなかった。戦前の予想で“3強”と目された前年覇者ハリケーンラン(4着)、シロッコ(8着)は、ディープが力づくで沈めたが、やはり3歳馬有利の圧倒的データ(過去10年8勝2着5回)は覆せない結果となってしまった。
それでもディープは素晴らしかったと思っている。堂々たる横綱相撲を取りながら、直後でマークしていた若駒に差されたのは、ある意味致し方ないこと。世界の中心がディープであったことはレースを見れば明白。競馬とはこういうものだし、アウェイでの挑戦はそんなに甘くない。3着ではあるがディープインパクトという馬は、世界のトップクラスの中にいる1頭であることには間違いない。落胆、消沈、向こう十数年チャンスはないなどと悲観するのはおかしい。日本のトップレベルの馬は十分世界で渡り合えることは、ハーツクライを含め証明されている。これらの遠征の繰り返しに、いつの日か歓喜の瞬間は届くだろう。
ただ残念ながらまだトップクラスの層が薄い。そして言い方を変えれば、リスクを負った挑戦が少ないのである。1999年、エルコンドルパサーはフランスで4戦2勝2着2回、G1・サンクルー大賞を制し、凱旋門賞は惜しい悔しい2着だった。
その長期滞在は、世界最高の賞金水準を誇る日本のレースを捨て、日本のチャンピオンホースとしての誇りを携え、世界に向かう夢と必然の挑戦であった。ディープインパクトの種牡馬の価値は既に数十億、海外の牧場からも相当な高額でオファーがあるともいう。それでも誇るべきアスリートとして、ディープインパクトには、まだこれから世界の最高峰の舞台に挑戦して、夢をかなえて欲しいと思うのは私だけではないはずだ。NHKの瞬間最高視聴率は、日曜深夜にもかかわらず22%を超えた数字が伝えられた。
現地には5000人ものファンが訪れた。またパブリックビューイングも東京、大阪で盛り上がりを見せた。これだけ熱く競馬が燃え、スポーツとしての興奮と感動を届けてくれたことは、かつてないこと。ディープインパクトには来年も現役続行していただき、世界を旅して夢を届けてもらえないだろうか。ディープサポーターよ、金子真人オーナーに嘆願書を書こうではないか!きっと、悔しい思いをしたディープインパクト自身が、最もそれを望んでいるように見えた。
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