ポールを肩に乗せ、彼女は両手を上げてスタンドに手拍子を要求する。
それに応えた万艱の手拍子が徐々に弱まり消えようとする頃、ポールを構え直した彼女は助走を始める。
軽やかな助走の後、身長174cm、体重64kgのスレンダーな肢体が、ポールと共にしなり空中を舞う。
その美しい姿にスタジアム全体が魅せられ、息を呑む。
宙高く設置されたバーの遥か上を超えた彼女の体は、マットの上に舞い降り数回跳ね上がったあと、次の瞬間拳が突き上げられる。
彼女を称える満場の拍手。
そして、それまで誰も到達したことが無い高さが場内に表示されるのだ。
2003年以来何度と無くそんなシーンの主役となってきたのが、ロシア出身の女子棒高跳び選手のエレーナ・イシンバエワ(25歳)だ。
5歳で始めた器械体操から15歳で棒高跳びに転向したイシンバエワは、その僅か2年後の1999年ワールドユース選手権で優勝し、事実上の世界デビューを果たした。
その翌年2000年に行われた世界ジュニア陸上選手権では、4m20でジュニア世界記録を塗り替え、2001年にも2度に渡ってジュニア世界記録を更新した。
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