今年も社会人アメリカンフットボール“Xリーグ”の秋季リーグが開幕した。目指すは12月17日に東京ドームで行われるJAPAN X BOWL。東西18チームが日本一の座を目指して激突する。
優勝候補は、昨シーズンに3年ぶりの優勝を果たしたオンワード・スカイラークス、毎年優勝候補のトップにあげられながら涙を呑んでいる名門アサヒビール・シルバースター、クラブチームの雄で一昨年の覇者オービック・シーガルズ、Xリーグの初代チャンピオンで常に安定した結果を出し続ける鹿島ディアーズの4チームがあげられるだろう。
オンワード・スカイラークスを率いるのはクオーターバック(QB)冨澤優一。今年川崎市で行われたアメリカンフットボールワールドカップでも、日本代表のQBを務めた、正真正銘XリーグのトップQBだ。今年34歳を迎える冨澤はベテランらしい冷静沈着な判断と、ショートパスやラン・プレーで確実にゲインを重ねていくことを得意としている。「必ず2年連続で日本一になりたいです。チームは去年よりもまとまりが増したと思うので、そのチームがリーグ戦の中で1戦1戦強くなっていく姿を見てもらいたいです」(冨澤)
このスカイラークスの前に立ちはだかるのが、名門中の名門アサヒビール・シルバースター。その司令塔であるQBを、昨年ヨーロッパNFLでもプレーした波木健太郎が、今年から任される可能性が高い。「伝説のQBとも言える金岡(禧友)さんが事実上引退して、その後を任されることは光栄ですけど責任も重大です。シルバースターのQBと言えば僕らの高校時代なら、アメリカンフットボールをしている高校生全員が憧れていたポジションですから」。彼の得意の強肩と意表をつくラン・プレーがはまれば、8年ぶりの日本一も射程圏内だ。 |
一昨年の優勝チーム、オービック・シーガルズも抜群のチーム力で2度目の日本一を目指している。そのシーガルズの主将には今年から、かつてアメリカのアリーナフットボールでも活躍し、2004年〜2006年に連続してオールXリーグに選ばれたベテラン・ラインバッカーの古庄直樹が就任した。「今年は15人の選手をワールドカップに送り出していたので、夏までチーム練習が全くできませんでした。でも“TheONE”とスローガンを掲げ、個人のレベルアップを図ったら、今まで以上に一人ひとりに責任感が生まれ、結果的にチーム力が格段にアップしたんです」(古庄)
さらに鹿島ディアーズも虎視眈々と優勝を狙っている。そのディアーズに昨年の甲子園ボウル(大学日本一決定戦)で大活躍し、大学MVPにも選ばれたランニングバックの丸田泰裕が加入した。「まだまだ社会人と大学の違いに慣れている最中ですけど・・・」と語る丸田だが、彼の加入でディアーズの戦力アップは間違いない。彼が持ち前のスピードに乗った小気味のいいステップで、相手のディフェンスを切り裂く時、ディアーズは9年ぶりの日本一に一歩近づく。
7月に川崎市で開催されたアメリカンフットボールのワールドカップでは、日本代表は優勝こそ逃したものの、数多くの観客が会場を訪れた。「これまでアメフトを知らなかった人たちにアメフトの魅力を知ってもらった」と関係者はその成果を口々に語っている。「世界中で全力疾走の人間同士がモロにぶつかり合う、ただ一つのスポーツなんです」とアメリカでのプレー経験もある古庄(シーガルズ)はその魅力を語る。少々ルールが分からなくたっていい。一度身近でその迫力を体験すれば、アメフトに夢中になれるはずだ。 |